2018年02月

2018年02月18日

本ブログ、久しぶりの2週連続更新です。
…って、毎日のように更新されてるブログもある中で何言ってるんだと思われるかもですが、、好きでやってるといっても血統調べるのってなかなか大変なんですよ…。
まぁさっさと本題に入りましょう。
身内POG指名馬レビュー、第11回に登場は2014-2015シーズンで2冠馬ドゥラメンテを指名し見事優勝された、まつやまさんです。

1位.シーリア(シーザリオの2015)
2位.サラキア(サロミナの2015)
3位.ダノンチェリー(ウィーミスフランキーの2015)
4位.サトノコメット(リリサイドの2015)
5位.デサフィアンテ(アヴェンチュラの2015)
6位.リバティハイツ(ドバウィハイツの2015)
7位.チャームザワールド(オリエントチャームの2015)
8位.ムスコローソ(ルナレガーロの2015)
9位.ハブルバブルの2015
10位.ダノンポピー(マネーキャントバイミーラヴの2015)

1位指名馬はシーリア
父キングカメハメハ、母シーザリオという超良血馬。
母はオークス馬、きょうだいは半兄にGⅠ2勝馬エピファネイア(父シンボリクリスエス)、全兄にGⅠ朝日杯FS勝ち馬リオンディーズというおなじみの血統です。
ちなみに、まつやまさんはリオンディーズを指名されてました。

補足すると、マルゼンスキーがトライマイベストと相似な血(Northern Dancer、Buckpasser、Princequillo)かつNijinskyクロスで父母間で呼応しています。

このきょうだいって、牡馬にに活躍馬が出るんですよね。また、キンカメ産駒は牡馬の方が活躍馬が多いです。
評判が高くても牝馬に出たこの馬はどうかな?と思っていましたが、現状2,4,3着と堅実に上位には来ていますが未勝利です。
勝ち上がりの瞬間は遠からずやって来そうですが、POG期間中の重賞での活躍は厳しいかも。。。

2位指名がサラキア
父ディープインパクト、母サロミナ(Lomitas)。
母はGⅠ独オークス勝ちの実績馬で、全姉サロニカはOPエルフィンS勝ち馬です。

Northern Dancerクロスと、父母間の欧州血統の呼応というのがポイント。重厚なクラシック向きの血統と言えるんじゃないでしょうか。
ただ、牡馬の場合はいいんでしょうがこの馬は牝馬なので、スピードを補強するRaise a Nativeの血があればもっといいのかな、という気はします。

この馬はデビューが遅れたとはいえ、先日の新馬戦を上り最速で差し切ってなかなか強い勝ち方をしました。
次走はいきなりトライアルのチューリップ賞を予定しているということで、新星誕生なるかが注目です。
あぁ、この馬に一口で出資できなかったのが悔しい(笑)。

3位はダノンチェリー。牝馬が3頭続きました。
父ディープインパクト、母ウィーミスフランキー(父Sunriver)。

母のプロフィールと血統れレビューは全兄ザウォルドルフのデビュー前の記事で2回書いています。

母は血統表のほとんどが米血で、それも非主流血脈が多い。
レビュー当時は米パワーが豊富と書きましたが、よく見れば米パワーの塊と言えるような強力な血がないんですよね。
母が米血メインで、非主流血脈が多くMeadowlakeの血を持つディープ産駒と言えばリアルインパクト。
ただ、あの馬の場合は母母父が強力な米パワースピードの塊でディープと相性のいいIn Realityでした。

一方この馬はそんな血が見当たらない中、Haloをクロスしてしまったために緩さが強調されてしまったのかな、と。
パワーを補強しそうなクロスもNorthern Dancerクロス5×5、Nothirdchance5×6・6と代が遠く効果が薄かったのかな…。

全兄ザウォルドルフは未勝利のままJRAから転出、本馬も2戦して掲示板に乗れずと、苦しい戦いが続きそうです。

サトノコメットが4位指名。
父ダイワメジャー、母リリサイド(父American Post)。
母はフランスで11戦5勝(リステッドレース3勝)。GⅠ仏1000ギニーでは1位入線も斜行により6着降着となっています。
ただ、繁殖入りしてからは初仔のプルメリアスター(父ゼンノロブロイ)をはじめ全馬が勝ち上がり。なかでも半姉リスグラシュー(父ハーツクライ) は先日の東京新聞杯で重賞2勝目とGⅠ勝ちも狙えそうな活躍馬となっています。

母はLyphard4×3、Northern Dancer5・4×4、Mill Reef5×3という濃いめのクロスを持っています。
一方本馬の持つクロスは近い代だとNorthern Dancerの4×6・5・5が目立つくらい。
ダイワメジャーの(自分的)好配合ポイントを見ていくと、Cruising Heightがナスキロ+サーゲイロードをクリア。
Menow-Tom Foolの血は見当たらず、やや素軽さ・スピードが足りないかな。
Hyperionの血に関しては欧州血統らしくSpecial、Vaguely Noble、Abernantなど多数配されており文句なし。
Wild Risk系血統もLe Fabuleux持ちなのでクリア。
やや4項目中3項目をクリアも、母に重めの血がありMenow-Tom Foolの血がないのが気になりますね。
姉のリスグラシューは、父ハーツクライでLyphardクロスがいい方向に働いたパターンですが、この馬はそれがないですし。

実戦では2戦してブービー、最下位(いずれもタイムオーバー)と全くいいところなし。。。
言っても全姉レイリオンは新馬勝ちをおさめていますから、スピードが物足りないとはいっても走れない血統ではないはず。
競馬って難しいですね。

5位のデサフィアンテはかなりの良血。
父キングカメハメハ、母アヴェンチュラ(父ジャングルポケット)。
母は秋華賞馬、その全きょうだいは重賞3勝のフサイチホウオー、阪神JFとオークスのGⅠ2勝のトールポピーがいるファミリーです。
本馬は母の初仔。

血統はなかなか強烈で、Nureyevの4×4、トライマイベスト=El Gran Senorの全兄弟クロス4×4に、Northern Dancerの5・5・7×5・5です。
良血馬の割には血が濃いギャンブル配合ですかね…。
ま、母母父がサンデーなのでサンデー系種牡馬も付け辛いという事情はあるんでしょうが…。

基本的に、Northern Dancerは緩さを解消するための頑強さや筋肉量を補う効果があります。
ただこれだけ重ねてしまうとパワームキムキのマッチョさんになりそうで怖いですよ。
母方には柔らかさ、しなやかさを補強してくれるナスキロの血もないですからね。
Kingmambo、トニービン、サンデーサイレンスと日本の芝向きの血は持っているので、その良さが出ることを祈りたいですが…。

今日の小倉の新馬戦では、追ってズブそうなところを見せて3着。
堅実に走ってくれましたが、あまりキレるタイプではなさそうですね。

6位指名のリバティハイツ
父キングカメハメハ、母ドバウィハイツ(父Dubawi)。
母は米芝GⅠイエローリボンSとゲイムリーSの2勝。
半姉リーチザハイツ(父ディープインパクト)は1戦未勝利、ディヴァインハイツ(父ハーツクライ)も1勝のみ。
リーチザハイツは、(当時は)血統を好評価した馬だったんですが…。
どうもサンデー系種牡馬と母の相性は良くなく、体質に難がある仔が出てしまうようです。
父にキングカメハメハを迎えたこの馬は、デビューが遅いのは同様ですが、姉たちに比べると順調に使えているようです。

血統はMr. Prospectorの3×5に、Green Danceの5×4、Northern Dancerの5・5・7×6・7・6。
キンカメ産駒の懸念点となるMr. Prospectorクロス(ダート向きに出やすい)とNorthern Dancer多重クロス(パワー型に出やすい)があります。
ただ、この馬はBuckpasserとNijinskyのクロスを合わせ持っているので、相乗効果で芝向きの素軽さとスピードが補強できています。
また、Mill Reef5×6クロスとShareef Dancer≒ダンシングブレーヴがキンカメのラストタイクーンを刺激し柔らかさ、しなやかさが補強できています。
Northern Dancerに関してはほどよく代が離れているので、あまりパワー型に出過ぎなかったんでしょう。

昨日の500万下では惜しくも2着でしたが、期間内の2勝目も挙げられそうです。

チャームザワールドが7位指名馬。
父は新種牡馬ロードカナロア、母はオリエントチャーム(父サンデーサイレンス)。
母はJRA4勝の中級条件馬でしたが、その全兄に最優秀ダートホースのゴールドアリュールがいます。母の半弟には根岸S勝ちのゴールスキー(父ネオユニヴァース)もいますね。
さらに、本馬の半兄は昨年のマイルCSを制したペルシアンナイト(父ハービンジャー)もいて、非常に勢いのあるファミリーです。

Nureyevの5×3、Nijinskyの7×5、Northern Dancerの6・6・5・8×4・6クロスはちょっと血が濃いめかな、という印象も。
ロードカナロアに母がサンデー×Nureyevという配合はシンザン記念勝ちのアーモンドアイと同じですが、アーモンドアイは母系にNorthern Dancerを重ねず、名牝Sex Appealの6×3クロスという仕掛けを配しています。
半姉ピクシーチャームとクィーンチャームはどちらも父がキングカメハメハながらかたや4戦未勝利、かたや4勝してOP入りとクロスの濃さゆえか極端な成績ですね。

残念ながら本馬は未出走のまますでに引退・繁殖入りしてしまったようで、クロスの弊害が出てしまったパターンだったようです。。。

8位はムスコローソ
ここまでの全指名馬が牝馬で初の牡馬指名馬です。
父は外国産馬の活躍が認められ輸入されたヘニーヒューズ、母はルナレガーロ(父アドマイヤムーン)。
母は4戦未勝利ですがダイナカールの一族で、父にサンデーサイレンスを持つ姉には重賞2勝のエガオヲミセテ、兄にはGⅠ高松宮記念勝ちのオレハマッテルゼがいる血統馬。
半兄フラアンジェリコ(父ネオユニヴァース)もGⅢ京成杯AHを勝っています。
本馬は母の初仔です。

近い代のクロスは、Northern Dancer5×6・5にRaise a Nativeの5×6程度。シンプルな配合です。
ちなみにヘニーヒューズ産駒は稼ぎ頭のモーニンもケイアイレオーネも母父がMr. Prospector系で、Northern DancerとRaise a Nativeのクロスを持つ同様のパターンです。
ヘニーヒューズがパワー型なので、変にいじくらず米パワーとスピードを伸ばすパターンがいいんでしょうか。

本馬はすでに2勝を挙げており、OPクロッカスSでも3着。重賞では2戦してどちらも2桁着順と距離にも壁がありそうですが、1400mのOPでは堅実にスピードを発揮しそうです。

9位はハブルバブルの2015。まだ馬名未決定ですね。。
父はキングカメハメハ。母父がディープインパクトと、これから増えていきそうな配合パターンです。
母は1勝のみもGⅢフラワーCで2着。その全弟にはダービー馬ディープブリランテがいますね。なかなかの良血です。

血統ですが、Nureyevの4×5にNorthern Dancerの5・5・7×6・6・7、Mr. Prospectorの3×6、Never Bendの6×5クロスが見えます。ややクロスが強い感じですね。
ラヴアンドバブルズがそれぞれキンカメと似た血を持っている影響でしょう。

母自身が3歳デビューで5戦して引退、全弟ディープブリランテも3歳で引退してしまったように、仕上がりの早さと体質の弱さが同居している印象のファミリー。
本馬はそれに加えてクロスの影響があるので、未だに入厩できない体質の弱さを抱えているんでしょうか。

蛇足ですが、この世代はキングカメハメハ産駒の不振が目立ちますね。
2勝しているのは2頭のみ、重賞勝ちはなくコズミックフォースの京成杯2着が最高成績という状況。
近年は体調不良の影響で種付け頭数を減らしていましたが、それでも去年は少ない産駒からダービー馬レイデオロを輩出していますからね。
やはりルーラーシップに新種牡馬ロードカナロアと、息子の種牡馬にいい繁殖牝馬を取られてしまっているのかな…?

最後の10位はダノンポピー
父ダイワメジャー、母マネーキャントバイミーラヴ(父Pivotal)。
母は海外9戦2勝、英GⅠナッソーS3着の成績。
半兄ミッキーロケット(父キングカメハメハ)はGⅡ日経新春杯を勝っています。

ダイワメジャーの(自分的)好配合ポイントに照らし合わせると、ForeseerとRiverman持ちでがナスキロ+サーゲイロードはクリア。
Buckpasser持ちなのでMenow-Tom Foolの血もクリア。
Hyperionの血に関してはそこまで濃くないですね。
Wild Risk系血統もヴィミー持ちなのでクリア。
なかなかの好配合だと思います。

ただ、なぜかこの母はサンデー系種牡馬と相性が良くなく、これまで産まれた産駒はドラゴンラヴ(父ゼンノロブロイ)もピエスドール(父ステイゴールド)もJRA未勝利です。
ディープとは相性良さそうですがこれまで種付けされてないんですよね。。。
本馬もダイワメジャーの好配合ポイントをクリアしていながら、これまで2戦して5着2回。
ま、レース条件と相手次第で勝ち上りはできそうですが…。

来週からは中山・阪神開催が始まり、皐月賞、桜花賞のトライアルも間近。自分の今期の指名馬はまだビッミョーな成績(笑)なので、ここからもう一頑張りしてほしいなぁ…。


2018年02月11日

骨折していたワケではありませんが、長らく放牧休養に入っていた当ブログ。
一部の身内の方たちの熱烈…かどうかはわかりませんが(笑)声援を受け、およそ5か月ぶりに復活します!
休養明けで久々に文章を書きますので、温かい目で見守ってやっていただければ幸いです。<(_ _)>

復活の要因は、「とりあえず身内POGの指名馬レビューとっとと終わらせろや!」という激励のお言葉(笑)。まぁ、ごもっともです。
というか、すでに8割以上の馬が出走を終え、活躍馬とそうでない馬がハッキリしてしまっているので、なんだかなぁ感もありますが。。。

まぁ、とっとと身内POG指名馬レビューにいきましょう!
第10回目は、2013-2014シーズンになんとワンアンドオンリーを指名しダービーを勝利、見事優勝を飾ったふじたさんです。
ワンアンドオンリーは当初の指名馬を取られた後のハズレ10位だったらしいですが、それにしても日刊競馬POGでもたった9名指名者がいなかった馬を取るとは…!

1位.レッドヴェイロン(エリモピクシーの2015)
2位.ヴィンセント(ファレノプシスの2015)
3位.パンコミード(ポップコーンジャズの2015)
4位.レイヴンウイングス(タスクミストレスの2015)
5位.アイムワン(ボストンタイムの2015)
6位.ロードアメイズ(グラシャスギフトの2015)
7位.レノヴァール(データの2015)
8位.ポートフィリップ(アドマイヤテレサの2015)
9位.ロードアンノウン(アンビナウンの2015)
10位.レッドチェイサー(レッドリップスの2015)

トップ指名・1位はレッドヴェイロン
父はキングカメハメハ、母はエリモピクシー(父ダンシングブレーヴ)。
母はOPファイナルS勝ち馬。母の全姉にはGⅠエリザベス女王杯勝ち馬のエリモシックがいます。
エリモシックは活躍産駒を出せませんでしたが、競争成績では劣るエリモピクシーは逆に素晴らしい産駒成績を残しています。
重賞2勝の半兄リディル(父アグネスタキオン)に始まり、クラレント(父ダンスインザダーク)は重賞6勝、レッドアリオン(父アグネスタキオン)が重賞2勝、サトノルパン(父ディープインパクト)も重賞勝ち。
姉のレッドアヴァンセ(父ディープインパクト)もOPエルフィンS勝ちと、とにかく活躍馬を出しまくっていてこの馬も期待がかかります。
また、ふじたさんにとってはリディルから指名しているなじみのある血統なんですね。

血統はNorthern Dancer5・5・7×4。
父キングカメハメハはNorthern Dancerの血を3本持つので、母はNorthern Dancerクロスを持たない馬の方が成績がいい傾向がありますね。その点はやや減点。
次はキングカメハメハ産駒の好相性配合に合致しているかを見ていきましょう。
まずラストタイクーンの増幅はNorthern Dancer・ナスキロ・Tom Foolが共通するダンシングブレーヴが担っています。
また、ラストタイクーンはナスキロ+Buckpasserで望田潤氏言うところの「ナスキロラトロ」ですが、本馬の4代母デプスはBuckpasser×Bold Ruler×Hill Prince(その父Princequillo)ですから、ナスキロラトロをより強化しています。
次にHyperionとLady Josephineの組み合わせのクロスは、LyphardがHyperionとFair Trial持ちでクリアしています。
なお、「HyperionとLady Josephineの組み合わせのクロス」ですが、今後は「HyperionとSon-in-Law+Lady Josephineの組み合わせ」、「HyperionとNasrullahの組み合わせ(Nasrullahの3代母はLady Josephine)」に分けたいと思います。
ま、望田潤氏言うところの前者はハイインロー、後者はナスペリオン(と最近使われ始めてます)ですね。

ちなみにレッドヴェイロンは、30戦5勝でダート中距離を主戦場にしたダノンエリモトップと同血。
ダノンエリモトップの母はエリモシックなので本馬の方が素質は上だと思われますが、資質が同様だとするならばレッドヴェイロンもダート向きのパワータイプ?という想像に行きつきます。
他にも母父ダンシングブレーヴのキンカメ産駒はOP関越Sを勝ったトウショウフリークが稼ぎ頭。
Lyphard持ちのキンカメ産駒は、Lyphardの持続力資質がキンカメのパワー資質と結びつくのか、ダート向きの馬が多いです。
現状では芝で3戦して未勝利で、前に行ってやや甘く後ろから行っても差し切れない感じ。
個人的には、やはりダート戦の走りが見てみたいですね。

2位はヴィンセント
父ハーツクライ、母ファレノプシス(父ブライアンズタイム)。
母は現役時代桜花賞、秋華賞、エリザベス女王杯と牝馬GⅠを3勝した名牝。
おじには米GⅡピーターパンS勝ちのサンデーブレイク(父フォーティナイナー)、そしてダービー馬キズナ(父ディープインパクト)がいる牝系です。
ただ、本馬のきょうだいはアディアフォーン(父ダンスインザダーク)がファンタジーS3着にラナンキュラス(父スペシャルウィーク)がフィリーズレビュー2着と、今いちブレークしきれていません。

血統はHail to Reason4×4クロスとNorthern Dancer5×5クロス持ち。父母相似配合に近い形態ですね。
また、トニービンの3代母CampanetteとGraustarkの母Flower Bowlがハイインロー血脈で結びついています。

ただ、他にはハーツクライと相性のいい血は見当たらないですね。
ハーツクライ×ブライアンズタイムではマジックタイムが出ていますが、マジックタイムはSadler's Wells持ちでHail to Reason多重クロスが発生していたのがポイントでした。
ちなみにハーツクライは他のサンデー系種牡馬と相性のいいStorm Catの組み合わせで、これまで活躍馬が出ていないんですよね。不思議なんですが。

なお、本馬は母が20歳時の高齢出産で産まれた仔。
馬体重もPOG本取材の時点で420kg台でしたが、デビュー時の馬体重も422kgと非常に小柄。
体力不足なのか、秋に消化した2戦とも1秒以上離されてのゴールでしたから、放牧明けで成長がみられることが勝ち上がりの条件になりそうです。

3位のパンコミードは、昨日の未勝利戦でなかなか強い勝ち方を見せました。
父キングカメハメハ、母はポップコーンジャズ(父ダンスインザダーク)ということでGⅠを2勝し最優秀4歳以上牡馬にも選出されたラブリーデイの全弟ですね。

クロスはNorthern Dancer5・5・7×5・6に、Nijinskyの6×4が目立つところですが、隠し味として最近のキンカメ産駒の活躍馬に多いTom Foolクロスを持っています。
またこの馬は母父ダンスインザダークでNijinskyの血も持つので、Tom Fool≒Flaming Pageの7×5・7クロスとなっています。
これは同じキンカメ産駒・リオンディーズの母父スペシャルウィークと同様の構成ですね。
母父ダンスインザダークといえばキンカメとの間にNijinsky、Graustark、Tom Fool≒Flaming Page、そしてRaise a Nativeという米血のクロスが発生。
ショウリュウムーンも同じ配合ですが、スパッとは切れないけど持続力とパワーで差し切るというタイプですね。

また、母母父はトニービンなのでHyperionとNasrullahの組み合わせが発生して、ドゥラメンテなどのような外回り向きのナタの斬れ味を補強。
ちなみにこの馬とドゥラメンテは母系のサンデー(系)×トニービン×ノーザンテーストが共通しています。

他のポイントとしては、レッツゴードンキ同様のRobertoとNijinskyの組み合わせを持っていることですね。
キンカメ×RobertoはGold Digger≒Bramaleaの相似クロスの効果でダート向きのパワー型になりやすいんですが、RobertoとNijinskyが合わさるとRarelea≒Bull Pageの相似クロスの効果か、芝向きのスピードも注入される感じです。
タイプ的には、やはりRoberto効果で小回り向きの機動力があるピッチ走法タイプになるかと思います。

とはいえ、母父ダンスインザダークの持続力とパワー、母母父トニービンの外回り向きのナタの斬れ味、RobertoとNijinskyの小回り向きの機動力という相反する3つの性質の配合が組み合わされているので、ともすると何が特徴かわからないという馬に出る可能性があります。
もちろん、いいとこ取りができれば万能な中距離タイプのラブリーデイになるワケですが。

また、母系に配合されているダンスインザダークもリアルシャダイも菊花賞大得意のスピードタイプですから、パワーとスタミナばかりがウリの馬になる可能性があるんじゃないでしょうか。
全兄ポノポノマウイ、キングジャズ、プレストの成績がイマイチ(2頭は中央未勝利)なのはそういうことかな、と。
この馬はまだ未勝利を勝ち上がったばかりですので、ラブリーデイと比較するのはまださすがに可哀そうですかね。

4位指名はレイヴンウイングス。ノーマークの馬でした。
父はハーツクライ、母はタスクミストレス(父キングカメハメハ)。
母はJRA5戦未勝利ですが、半兄に函館記念勝ちのクラフトマンシップ(父フレンチグローリー)とAJCCなど重賞3勝のクラフトワーク(父ペンタイア)がいる血統です。
また近親には古いですが、1986年の皐月賞馬ダイナコスモスがいます。

ちなみに、ディープインパクト×キングカメハメハはジャパンカップ2着のデニムアンドルビーなどがいますが、ハーツクライ×キングカメハメハって1番の活躍馬が古都S(1600万下)勝ちのプロレタリアトと、あまり振るわないですね。
考えるに、ディープとキンカメはAlzaoとラストタイクーンが呼応するんですが、ハーツクライはそれがないんですよね。
ディープ×キンカメのBurghclereとNureyev→Forliの呼応と似た部分はHornbeamとNureyev→Forliの呼応があると思うますが…それだけだと威力不足ということかな?

さて、この馬の血統はNorthern Dancerの5×6・6・8・5が目立つところでしょうか。
ハーツクライの持つトニービンと母系のNureyev、ノーザンテーストは相性がいいと思いますね。
ただ、この馬は母母父パドスールと、4代母父のマリーノが欧州系で重い血ですね。
ハーツクライ自身が欧州系の母系なので、その血を強調させるとスピードが足りなかったり、晩成型になりがち。
なので、アメリカの軽いスピード血統を補ってやるほうが大物になる傾向がありますね。

この馬はノド鳴りを発症し、手術を行って再び調教を再開したのが12月とのことですから、期間中の未勝利出走が間に合うか微妙なところです。

アイムワンが5位。
父は新種牡馬オルフェーヴル、母はボストンタイム(父ブライアンズタイム)。
ボストンタイムはJRAで4勝した中級条件馬です。父はブライアンズタイムですが、芝短距離で走っていました。
半兄は重賞2着2回のドリームサンデー(父タイキシャトル)が出世頭ですが、ほかのきょうだいの成績はあまり振るいません。
3代母は懐かしの「華麗なる一族」、桜花賞馬のハギノトップレディです。

クロスはNorthern Dancerの6・5×5、Hail to Reasonの5×4、そして珍しいSanctusの5×5があります。
上記のクロスは、2代父ステイゴールドを強調する狙いがありそうです。
また、Northern DancerとHail to Reasonの組み合わせはゆるやかな父母相似配合になっています。

SanctusといえばフランスでGⅠを勝った長距離馬で、産駒には種牡馬となったディクタスやサンシーがいます。
もとはGainsborough(Hyperionの父)から発展した長距離血統ですが、気性の激しさからマイラータイプの馬を多く出しました。
ステイゴールドも父オルフェーヴルもその影響を受けてか、騎手を振り落したりする気性の激しさを見せまくっていました(笑)。
この気性が出てこないかは、やや懸念点ですかね。

また、晩成であったステイゴールドを強調した影響か、現在はBTCで育成中で期間内になんとかデビューできるかな、といった状況。
きょうだいも、半兄ドリームサンデーが5歳で本格化していますのでPOG期間内の活躍は微妙そうです。

6位はロードアメイズですが、屈腱炎を発症して未出走で引退と残念なことになってしまいました。
父ディープインパクト、母グラシャスギフト(父Giant's Causeway)の期待馬であったと思いますが・・・。

2代母は米GⅠを7勝した名牝Heavenly Prize。
母の半兄には種牡馬Pure Prizeや米芝GⅠ2勝のGood Rewardがいます。2頭とも父はStorm Catですから、グラシャスギフトとは3/4同血です。
また、シクラメン賞をレコードで勝ち今年のクラシック戦線のキーホースとなりそうなオブセッションもこの馬の近親ですね。

簡単に血統を見ていくと、Northern Dancerの5×5・5クロスにHaloの4×6クロスが目につきます。
母父Giant's Causewayはその父Storm Catがディープとニックス。さらにHail to Reasonクロスもあることで、とにかくディープの瞬発力を強調してくれます。
一方で、母はとにかくアメリカン血統の塊ですから、ディープの母系の補強はできていませんでした。
出走できていたなら、マイル~中距離を主戦場にする馬になっていたのかな、という気がします。

7位指名のレノヴァールは、ふじたさんがよく取られている血統です。
父ハーツクライ、母データ(父Roy)。
データはアルゼンチン生まれで、GⅠ2着が2回。
半兄アーカイブが3勝していますが、あまりきょうだいの競争成績はふるいませんね。

この馬自身は5代アウトクロス馬。
ま、母はアメリカ血統と欧州血統が半々という感じで、いかにもアルゼンチンで独自に進化を遂げたというイメージの血統構成。
母がRaise a Native4×4にNative Dancer5×5・5クロスを持つというといかにもアメリカンなイメージ。
父ハーツクライはミスプロ持ちが走っているように、母系から米スピードを補給した方が走る傾向があるので、母が持つクロスの効果はありそうです。
一方で本馬の母系は、2代母父Mariacheが欧州の超スタミナ血統であるMossborough - Ballymossのラインという面白い血統です。
ちなみにMariacheはCourt Martial+Hyperionの血を持つので、ハーツクライの持つSevern Bridgeの血を強調し、欧州スピード・パワーを補強してくれそうです。

すでに2勝を挙げている本馬は、うまく母系のアメリカ血統と欧州血統がハーツクライの血とミックスされたんじゃないでしょうか。
ただ、今後皐月賞トライアルに駒を進めるにあたっては、父のHaloを強調する血が見当たらないため、瞬発力では他の馬に後れを取る可能性も。
また母がNorthern Dancerの血を持たないため、POG期間中には緩さを見せる可能性はあると思います。

8位指名はポートフィリップ
この馬も父ハーツクライ、母はアドマイヤテレサ(父エリシオ)。
全兄は豪GⅠコーフィールドCを勝ちながらも、現地で悲運の死を遂げたアドマイヤラクティです。

母がNorthern Dancerクロス持ちというのは、ハーツクライ産駒の好配合の教科書通りでしょうか(自身はNorthern Dancer5×4・5)。

また、母父のエリシオはハーツクライと相性のいい血を持っています。
ハーツクライと好相性な血と言えばSeattle Slewで、エリシオはSeattle Slewの息子であるSlewpyを持っています。
これによりハーツクライの3代母、米血My BupersをBlue Larkspur・War Admiral・La Troienneを通じて補強してあげています。

他にもエリシオはHail to Reason4×6クロスを持っていて、本馬はHail to Reasonの4×6・8クロスを有します。
ま、これはSeattle Slew持ちだと必ずついてくる仕掛けですが…。

ただ、この配合はやはり「POG向きではない」気はしています。
Seattle Slew・Northern Dancer ・The Axeが血統的に共通するカポーティスターも、本馬の全兄もPOG期間中は平凡な成績でした。
(というか、ハーツクライ産駒は総じて晩成傾向に出やすいんですが。)
やはり母がNorthern Dancerの濃いクロスを持つか、ワンアンドオンリーやヌーヴォレコルトのようにDanzig+Mr. Prospectorの血を持つか…。
実際に本馬は現在3戦未勝利。まずは勝ち上がりを目指したいところです。

9位のロードアンノウンも、父がハーツクライ!半数の5頭がハーツクライ産駒とは…。やはりワンアンドオンリーのPOですね。
本馬の母はアンビナウン(父Wild Again)。父・母父はジャスタウェイと同じ組み合わせですね。
母は米国産で未出走。ですが母の全兄はメトロポリタンHなどGⅠを2勝し、種牡馬入り後はダート王トランセンドを輩出したワイルドラッシュという良血です。
一方、母の繁殖成績はそれほどでもなく、ロードヴィオレット(父スペシャルウィーク)とアンビータブル(父ブライアンズタイム)が2勝している位です。

この馬の配合ポイントといえば、Buckpasser持ちが挙げられます。
これによりBusandaの6×6クロスが発生し、War Admiral+Blue Larkspur+La Troienneの血を強化しています。

うーん、この馬の配合もなかなか面白いんですが、やはりPOG向けというにはインパクトが薄い気はします。
同じ母父Wild Againでもジャスタウェイは5代母Blue BurstがBlue Gay≒Revokedの1×2という仰天配合!
さらにハーツクライはNothirdchance≒Revokedの4×5を持つので、ジャスタウェイ自身はBlue Gay≒Revoked≒Nothirdchanceの5・6×7・8クロスなんです。
それでも、POG期間中にアーリントンCを勝ったとはいえ、3歳GⅠでは全く歯が立たず本格化は4歳秋ですもんね。
ハーツクライが5代内アウトクロス馬なので、お相手は濃いクロスを持つくらいでちょうどいいんでしょう。

POG向きでないという懸念が現実のものとなって、現在ロードアンノウンはデビューできていない状況。
自分もPOGで取ってはいますが、ハーツクライ産駒ってホント難しいんですよ(笑)。

ラストの10位指名馬はレッドチェイサー
なんと父はキングヘイロー、母はレッドリップス(父フレンチデピュティ)。
キングヘイロー産駒は珍しいチョイスですね。ま、PO期間中にもローレルゲレイロとカワカミプリンセスという活躍馬はいますが、もう10年以上前ですから。。。

母レッドリップスは3勝した中級条件馬。近親に活躍馬はいませんが、少し遡ると3代母オレンジブロッサムの半姉に札幌2歳S勝ちのメローフルーツ(父Halo)、全兄に牝馬重賞3勝のオレンジピール(父サンデーサイレンス)がいます。
なお、きょうだいは半姉ホーリーフルーツ(父ワークフォース)が1勝を挙げているのみです。

キングヘイローといえば、母グッバイヘイローがHalo≒Sir Ivorの1×2という強烈な相似クロスを持ち、それを継続してDrone≒Halo≒Sir Ivorの3×2・3というすさまじい相似クロスが血統的なポイントでした。
この馬は母母父がサンデーサイレンスなので、Haloの3×4クロスから派生したDrone≒Halo≒Sir Ivorの4・3・4×4という濃い相似クロスを持っています。
さらに、母父フレンチデピュティの持つMitterandも「ボルキロ」血統なので、それらの血を強調しています。
ただ、さすがにここまで来ると血が濃すぎるな、という感じも。
配合としても父・母父ともにNorthern Dancer系の同系配合で、Northern DancerとDrone≒Halo≒Sir Ivorで血統の半分以上が埋められています。
これは、当たればデカいけど…なギャンブル配合ですね。

ちなみに先程名前を出した2頭、ローレルゲレイロは4代前のForeseerが、カワカミプリンセスは5代前の離れた位置にあるHail to ReasonとPrincequilloが、「ゆるやかに」父のDrone≒Halo≒Sir Ivorを継続しています。

本馬はデビュー戦が18頭立てで離された17着、その後も4戦して掲示板が1回のみ。
やはりクロスも濃すぎるとリスクが高まるということでしょうか…。

いや~、久しぶりに書いたので疲れました(笑)。
でも、これでようやく全参加者の2/3が終わったのか…まだ先は長そうです。。。