2017年06月

2017年06月25日

昨日から始めた今年度の身内POG指名馬レビュー。ここからはアイウエオ順で進めさせてもらいます。
今日紹介するのは、今年度から新規参加の柏倉さん
果たしてどんな指名傾向があるのか?を見ながらレビューさせてもらいます。

1位.ソリッドドリーム(デインドリームの2015)
2位.ゴールドフラッグ(ポイントフラッグの2015)
3位.トゥザフロンティア(トゥザヴィクトリーの2015)
4位.リンガラポップス(クラシックローズの2015)
5位.トーセンフレイヴ(ギーニョの2015)
6位.ファストアプローチ(ジョリージョコンドの2015)
7位.ラントカルテ(ラルナデミエルの2015)
8位.ポンテザール(ジョコンダⅡの2015)
9位.ラソワドール(ルシルクの2015)
10位.ハウナニ(ユキチャンの2015)

トップを飾るのは、2011年のカルティエ賞最優秀3歳牡馬(&年度代表馬)と最優秀3歳牝馬のカップルから誕生したGⅠ15勝ベイビー!
超が2つ付くほどの良血馬、ソリッドドリームです!!
父は初年度産駒からGⅠ2勝馬ソウルスターリングを輩出し日本競馬への適性を証明したFrankel、母は牝馬ながら凱旋門賞を制しているデインドリーム、その2番仔です。
父母の競争能力がストレートに伝わればとんでもないバケモノが誕生してしまいますが(笑)、果たして。

クロスはなんとデインヒルの3×3(!)に、ノーザンダンサーの4・5×5・5という濃さ。
ノーザンダンサー同系配合馬同士の組み合わせで危険なレベルのインブリードが発生していて、父母のプロフィールの割にギャンブル配合となっています。
ソウルスターリングの血統レビューをした際にも述べましたが、母方の4代前にノーザンダンサーの血を持つ馬は日本で勝ち上がっていないのが現状。
この馬は5代前に2本ですが血量的には4代前に1本持つのと同じですからね。。。
全姉Nothing But Dreamsは、初仔ということもあったかも知れませんが故障により未出走で早々に引退と、体質面の弱さがないか気になるところです。

細かいところでいえば、Frankelの母KindはTom Fool≒Spring Runの5×5相似クロス持ちで、デインドリームは父方ニジンスキーの母Flaming PageがBuckpasser - Tom Fool≒Spring Runと相似な関係。
つまり、Tom Fool≒Spring Run≒Flaming Pageの7・7×5・7クロス持ちになります。
日本の重賞勝ち馬でいえばソウルスターリングは5代母父ジムフレンチが持つTom Foolを経由し、ミスエルテはPulpitが持つニジンスキーからFlaming Pageを経由してこの配合パターンを踏襲しています。

なんにしてもデインヒルの3×3とノーザンダンサーの継続クロスの印象が強すぎます。
こういう馬って、デインヒル自身が名牝Natalmaの3×3クロスを持つように、名牝クロスの場合は繁殖に上がってから威力を発揮することがあるんですが…(ノーザンテーストなんかも名牝Lady Angela3×2)。
いずれにしても、その動向が注目される1頭なのは間違いないです。

2位指名はゴールドフラッグ
全兄はご存知GⅠ6勝の超個性派・ゴールドシップです。
他のきょうだいの成績にはばらつきがあり、もう1頭の全兄トレジャーマップはPOG期間中未勝利(現在4勝)、全姉フラワーシップも現在未勝利です。

この馬の血統は様々なところで解説されているので簡単に。
ステイゴールド×母父メジロマックイーンの奇跡のニックス配合に、ノーザンテースト≒The Minstrelの4×4相似クロスとPrincely Gift5×5クロスで、2代母パストラリズムが父ステイゴールドの2代母ダイナサッシュの血を増幅…というところ。

母17歳時の産駒であることは懸念点ですが、すでに函館に入厩し7月上旬の新馬戦を目標に鍛えられているとのことで、体質面の問題はなさそう。
実質ステイゴールド産駒最後の世代の同馬、偉大な兄にどれだけ近づくことができるか?

3位に指名されたのはトゥザフロンティア
父は新種牡馬ロードカナロア、母は名牝トゥザヴィクトリー。
きょうだいには重賞勝ち馬がトゥザグローリー、トゥザワールド、トーセンビクトリーと3頭いる、おなじみの血統です。
すでに父キングカメハメハの配合で上述の受賞勝ち馬を出していますから、無事なら大外れはない血統でしょう。

血統はヌレイエフの5×3とノーザンダンサー6・6・8・5×4クロスが軸になっています。
ちなみに、父キンカメのきょうだいはすでに様々なところで解説されていますので、詳細はそちらに譲りますが…。
この配合はヌレイエフクロス以外に父母間のハイペリオン×Lady Josephineの組み合わせのクロスを強調した粘り強い脚が持ち味。
この馬はロードカナロアの母系のCormorantがハイペリオン×Son-in-LawのFlower Bowlと母方にもあるTudor Minstrelのクロスでさらにその血を強調しています。

父の持つラストタイクーン - ストームキャット(ノーザンダンサー×ナスキロ)を強調する血はないのでキレを武器にする馬ではなさそうですが、スピードと粘り強さは保証できるんじゃないでしょうか。
すでに中京4週目の芝1600mの新馬戦を予定しているとのことで、これまでのきょうだいより早期始動しそうな点もPOG向きでしょうか。

4位のリンガラポップスはキンシャサノキセキ産駒で、いかにも2歳戦向きというイメージの馬。
母はクラシックローズ(父コマンダーインチーフ)で、きょうだいは5頭いますがアンブリッジローズ(父ディープインパクト)の2勝が最高成績です。
2代母はロゼカラーで、おばに名牝ローズバドがいますね。

血統はリファールの4×4・4クロスが特徴的。ほかにヘイルトゥリーズン5×5クロスとヘイロー≒Drone4×5相似クロスも保持しています。
配合としてはキンシャサノキセキ産駒の稼ぎ頭シュウジと共通点があります。
→シュウジはリファールの4×5クロスとロベルトを経由したヘイルトゥリーズン5×5クロス持ち。
相違点はシュウジが母系はリファールが1本でヌレイエフを経由したノーザンダンサー5×5・5クロス持ちである点。
母クラシックローズはリファール3×3という濃いクロスの持ち主なんですが、リファールは粘り強さを強調する血なので、あまりクロスが濃いとそれが鈍重さ、ズブさにつながりかねないんですよね。
2代母ロゼカラーはミルリーフにセクレタリアト持ちでナスキロ2本でいかにもキレがある配合なんですが、クラシックローズの代で一気に粘り強さの方が優勢になっている感じです。

新馬戦も直線入り口で先頭に並びかけながらジリジリとしか伸びず、逃げ馬を交わせず後ろから来た馬にも差されての3着…。
今後はこの「粘り強さ」の短所を長所にできるようなレース運びを考える必要がありそうです。

トーセンフレイヴが5位指名馬。
この馬はセレクトセール2015・当歳馬セッション高額馬レビューで血統レビューをしています。
ちなみに、この馬は柏倉さん3位指名のトゥザフロンティアと従兄、3/4同血ですね。

6位指名馬はファストアプローチ
父はGⅠ3連勝を含む4勝で英2000ギニーの勝ち馬、新種牡馬のDawn Approach。
母ジョリージョコンドは、ジョコンダIIの娘ですからおばにLightening Pearl、おじに先程宝塚記念を勝ったサトノクラウンがいます。
この馬は母の初仔になります。

おじのサトノクラウンは母の全兄。その血統レビューは以前のエントリーにありました。
概要はノーザンダンサー4×5、バックパサー5×5のクロスから発生したトライマイベスト≒Rossini≒Marjuの強烈な相似クロスでパワースピードを補強した配合になっています。
(サトノクラウンは先ほどの宝塚記念など稍重や重馬場で良績を残していますが、それも納得。)

で、そこにDawn Approachを迎えた本馬の配合はMiswakiの5×4とノーザンダンサーの5×5・6クロス持ち。
母はサトノクラウン同様、トライマイベスト≒Rossini≒Marjuの相似クロスを持ちますがさらにノーザンダンサー系×MiswakiのGalileoも相似な血と言えそうで、5代血統表で見える以上に相似な近親配合を重ねているのです。
ここまで似たような血(しかも主流血統)が濃いと、ちょっと気にはなりますね。
また、父はあくまでサドラーズウェルズ系。異質とも言えるスピードを伝えるFrankelを例外とするとややスピード面に不安もある気が。
ま、すでに新馬戦を走っているように仕上がりは早いので、ここから洋芝の北海道シリーズに転戦すれば良い面が出るかも知れません。

7位のラントカルテは父が新種牡馬のオルフェーヴルですね。
母はラルナデミエル(父Monsun)、ドイツ出身で米GⅢオーキッドSを勝っています。
ただ、母が種付け2年目で初めて産んだリュイザン(父ステイゴールド)は2戦してどちらも2ケタ着順と、いいところがありません。

母ラルナデミエルはSurumu3×4という珍しいクロスの持ち主。
Surumuといえばミラノ大賞などを勝ち、93年のジャパンカップで4着したプラティニの父ですね。あまり日本向きというイメージはありませんが…。
また母父Monsunは完全なドイツ土着の異系血統で、どちらかと言えばこの馬の配合でキモになりそうなのは2代母La Hermanaですかね。
La Hermanaはエルナンド×母父Alzaoというノーザンダンサー同系配合で、ラルナデミエルの母父と母系がドイツ血統である分を補う主流血脈が凝縮しています。
リファール4×3クロスにノーザンダンサー4・5×4、名牝Pocahontasの5×4クロス、父エルナンド内のBuckpasserクロスなど、
さらにエルナンドの母Whakilyricはバックパサー3×3という濃いクロスを持ちます。
エルナンドは2代父祖がニジンスキーで、バックパサーの父トムフールとはソリッドドリームのレビューでも述べたように相似な血を持ち、いずれもステイゴールドとは相性のいい血でした。
オルフェーブルの配合は手探りですが、この血が上手く作用すれば面白そうです。

8位のポンテザールは、ジョコンダⅡの産駒。ということは、6位のファストアプローチと従兄同士ですね。
半兄は先程も述べた通り宝塚記念を勝ったサトノクラウンで、ホットな血統です。
ただ、半姉シャレードスマイル(父ステイゴールド)、今年のPOGでも人気していた半兄サトノヴィクトリー(父ディープインパクト)がいずれも掲示板に乗ることなく未勝利なのは気になるところ。

その兄は父ディープがAlzao持ちでAlzao≒Touch of Greatness≒Coup de Folie≒Air Distingueの3×3・5・4相似クロスでかなり血が濃い印象でした。
一方、この馬は父がハーツクライに変わりその相似クロスは発生していません。
ヘイロー≒Sir Ivorの3×5・6・5にリファール4×7、ノーザンダンサー5×5・7・8・8というのが配合内容です。
サトノクラウンの配合が完成形に近いイメージがあるのでさすがに見劣りしますが、サトノヴィクトリーに比べれば血が濃くなく、好印象ではあります。
とは言ってもヘイロー≒Sir Ivorのクロスに母の持つミスプロクロスと、馬体の柔らかさ、しなやかさを伝える血が多いことには変わりないためPOG期間に仕上がるかどうかは未知数ですかね。。

9位に指名されたのはラソワドール
父はゴールドアリュール、母はルシルク。
半兄に重賞で好走を続ける(も勝ち切れませんが汗)グランシルクがおり、2番仔のハイデッカー以外は勝ち上りと非常に堅実な一族です。
また、叔父には共同通信杯勝ちのブレイクランアウトがいます。

半姉とは父が異なりますが、父母共にヘイルトゥリーズン系×ノーザンダンサー系というゆるやかな父母相似配合なのは共通。
5代内ではヘイルトゥリーズン4×4クロスと姉にはなかったニジンスキー5×5クロスがあります。
ゴールドアリュールの好配合パターンと言えば、ロベルトやミスプロやヌレイエフクロス、ヌレイエフと相似なサドラーズウェルズでゴールドアリュールの母父ヌレイエフのNantallah≒Nashuaを増幅させるパターン。
この馬も母母父がロベルトですからそのパターンを踏襲しています。
また、ゴールドアリュールは母ニキーヤがハイペリオン5・5×7・6クロス持ちなので、その部分を増幅させてあげるパターンも有効。
ラソワドールの母父Dynaformerの母Andover Wayがハイペリオン4×4で、この部分を活かしています。

一点気になるのは、ゴールドアリュールの活躍馬はとにかく牡馬に偏っている点。
賞金獲得10位にフーラブライドがいるものの、20位以内には18位にもう一頭ララベルがいるのみ。
ゴールドアリュールはパワー型種牡馬ですが、牝馬の場合はパワーよりもキレを持つ馬が勝ち上がりやすいですからね。。。
母の能力の高さでどこまでいけるでしょうか。

10位のラスト指名馬となったハウナニは、皆がなごむ白毛馬(笑)。
父は新種牡馬ロードカナロア、母はユキチャン。2代母がシラユキヒメのいわゆる白毛馬一族ですね。

配合は、ノーザンダンサー6・6・7・5×6・5がメイン。といってもノーザンダンサー自体の代は遠いところになりますが。
そこから注目すべきは、ラストタイクーン・ストームキャット・フレンチデピュティ・Topsiderの4つのノーザンダンサー×ナスキロ配合ですね。
やや血統構成がこの血脈に偏っているきらいはありますが、これらが脈絡すれば芝向きのキレが発現します。

母は重賞3勝馬ながら、まだきょうだい2頭は目立った活躍を見せていません。
ノーザンダンサーの血の偏りは気になりますが、この馬が走ると競馬場が盛り上がりますから頑張って欲しいですね。

以上、今日は柏倉さんの指名馬レビューをお送りました。
気づいたのは、トゥザフロンティア・トーセンブレイヴにファストアプローチ・ポンテザールと「牝系」に注目した指名をされていた点ですね。
昨シーズンでもレイデオロやアドマイヤミヤビなどウインドインハーヘア一族が活躍したように、牝系の勢いは伝播することがあるので鋭い読みをされているな~、と。
果たして参加初年度でどんな成績を残されるでしょうか?


2017年06月24日

ドラフト会議から少し期間が空いてしまいましたが、今年も恒例の身内POG指名馬レビューをしていきたいと思います。

参加している身内POGは今年で21回目の開催。
自分は4年前から参加していて今年で5回目ですが、ようやく昨期初のプラス収支でした。

先輩方が口を揃えて言うのは、「最近はみんなレベルが高いっ!」
かつては重賞1勝でも優勝を十分狙えたのが、今ではGⅠ勝ちを含む重賞2勝はしないと優勝争いはできないレベルだと。
インターネットの普及でnetkeibaの掲示板や、その他の媒体から情報が得やすくなったこと。
また、牧場での育成のレベルが上がり評判馬や良血馬が好成績を残すようになったことなど色々要因はあるんでしょうが…。
今期は昨期参加されていた方2人が抜けたものの、替わりに新規参加の方もお2人で人数は変わらずの15人!シビアな戦いになりそうです。。。

ちょっと話は逸れてしまいましたが、指名馬レビュー一人目から紹介していきましょう。
まずは身内POGの管理人、そして自分をPOGという底なし沼(笑)に引き込んだ張本人である、しんぺーさんの指名馬です!

1位.ルーカス(メジロフランシスの2015)
2位.アドマイヤキング(アドマイヤテンバの2015)
3位.プリュス(サラフィナの2015)
4位.ウインスラーヴァ(グローリサンディの2015)
5位.マイネルイノメ(コスモハートの2015)
6位.マイネルアーリー(アーリースプリングの2015)
7位.エイシンパンサーの2015
8位.モダンジャイブ(ダンスオールナイトの2015)
9位.コンダクトレス(ファーストチェアの2015)
10位.フリーガーアス(レースパイロットの2015)

1位は年度代表馬モーリスの全弟、ルーカス
兄は吉田厩舎に入厩→3歳春の白百合S後に堀厩舎に転厩しましたが、この馬は最初から堀厩舎所属。育成も順調で、プロフィール的には人気も納得の1頭です。

配合的ポイントと考えられるのは2点。
①ロベルト×サンデー×サドラーズウェルズのヘイルトゥリーズン多重クロス
これは、以前アドミラブルやディーマジェスティの記事で紹介した配合パターンですね。
近5年のダービーでも2013年エピファネイア、2015年サトノラーゼン、2016年ディーマジェスティ、そして今年のアドミラブルと馬券圏内に送り込んでいる配合パターンです!
※このことは、後日時間があるとき改めて書いてみようと思います。

②スクリーンヒーローの3代母モデルスポートを、母メジロフランシスが薄めに刺激
スクリーンヒーローのスピードの源泉と言われているモデルスポートは、父Menow×母父Bull Dog(その父テディ)のTom Fool≒Spring Runの2×3かつブランドフォードの5×6。
一方、メジロフランシスは父父ブランドフォード×母父テディのNorseman5×5で、まぁかなり薄めではありますが刺激しています。

ところで、この馬のきょうだいは父がスクリーンヒーロー以外だと7頭でJRA2勝のみです。
この馬はモーリスが1頭だけ大爆発した馬だったのではなく、スクリーンヒーローと母の組み合わせが素晴らしかったということを証明しなきゃなりませんね。

2位のアドマイヤキングは父キングカメハメハ、母アドマイヤテンバ(父クロフネ)。
この馬は、ノーザンファーム早来で叔父である二冠馬ドゥラメンテと同じVIP馬房に入っていたということもあり、POG本で大きく取り上げられていました。
母はJRA4勝、半姉アドマイヤローザ(父ハービンジャー)は初仔で現在1勝ですが、未勝利勝ち直後のエルフィンSで2着に好走しています。

配合ですが、2代母アドマイヤグルーヴで叔父ドゥラメンテと3/4同血というところにすべてが凝縮されています。以上(笑)。
ま、もう少し詳しく見ていくとこの馬自身キンカメ産駒の好配合ポイントをしっかりと抑えています。
母父父フレンチデピュティはノーザンダンサー×ナスキロ配合で、キンカメのラストタイクーンを増幅する血。
また、母系はトニービンが入っているので、Hornbeamの6×6によりハイペリオン×Lady Josephineの組み合わせのクロスが強調されています。
叔父ドゥラメンテの配合は完成され過ぎていて、そこにクロフネを挟むことで主流系統、とくにノーザンダンサーのパワーが強調されていないか?というのは気になりますが、ささいなことかも知れません。
育成する方たちの期待通りに育てば、相当な大物になりそうです。

3位プリュスの母サラフィナは、名前を聞いたことがある人が多いはず。
母自身サンクルー大賞典などGⅠを3勝していますが、3歳時の凱旋門賞では輸入種牡馬ワークフォース、宝塚記念馬ナカヤマフェスタに次ぐ3着に入線した馬です。
父も世界を股にかけたヴィクトワールピサですから、国際派カップルから誕生した牝馬ですね。

血統は、ミスプロ4×5クロスが特徴的。
母はRefuse To Bend(父サドラーズウェルズ)×ダルシャーン×Top Villeというドロッドロの欧州血統で、いかにも重いイメージですからミスプロクロスが素軽いスピードを伝える方向に働けばいいですが、父系のMachiavellian、母系のMarket Slideはともにミスプロ×母系にリボー持ちなので、パワースピードが伝わってしまう懸念もあります。
一方、ヴィクトワールピサ産駒最大の活躍馬ジュエラーの2代母父はプリュスの3代母父であるTop Villeですから、相性のいい血を持っているとも言えそうです。

半兄ジェニアル(父ディープインパクト)は3戦して5着が最高着順と母系の重さが出たのか成績が振るいませんが、欧州血統と相性のいいヴィクトワールピサに父が変わり反撃といけるでしょうか。

4位のウインスラーヴァはしんぺーさん2頭目のスクリーンヒーロー産駒!
母グローリサンディは地方で走りましたが、全兄トラストはGⅢ札幌2歳Sを勝利し、英ダービーに登録されたことでも話題を呼びました(毎年の岡田繁幸さんの恒例行事でもありますが(;^_^))。

この馬の配合ですが…、見たら分かるクロスの濃いやつやん!(宮川大輔風)
なによりサンデーサイレンス3×3というギリギリレベルのクロスに、ヘイルトゥリーズン5・5×5とノーザンダンサー5・5×5でまぁ血統表が赤っぽいです(笑)。
とにかくヘイルトゥリーズンとノーザンダンサーまみれの配合ですが、母が地方公営で58戦14勝とタフで丈夫だったことがこの濃い配合を可能にしているんでしょうか。

1歳年上の全兄トラストはクロスがいい方向に出ましたが、2歳年上の全兄ウインオスカーは新馬戦の1勝のみ。
しんぺーさん、ウインオスカーは指名していたのでリベンジなるでしょうか?

5位指名はマイネルイノメ
父はスクリーンヒーローで、何と3頭目の指名。お、おう…。
ちなみにこの馬、モーリス以外で唯一スクリーンヒーロー産駒としてリスト(といっても補欠の補欠の補欠ですが…)に載せていました。
母コスモハートは天皇賞春の勝ち馬マイネルキッツ、福島牝馬S勝ち馬マイネカンナの半妹というなかなかの良血。母自身は1勝に終わりましたが、母系のバックボーンはしっかりしています。
一方、きょうだいは長姉カミノアシこそ地方公営・笠松で走りましたが上2頭のきょうだいは未出走と、やや気になる点はあります。

血統は一見して、ノーザンテースト5×4クロスが目立つくらい。
ただ、やや遠い代ではルーカスの血統レビューでも取り上げた、スクリーンヒーローの3代母モデルスポートを活かす配合があります。
それは、母父マイネルラヴが持つバックパサーの血。
バックパサーはトムフール×War Admiral×Blue Larkspur×Teddyという配合で、モデルスポートの父モデルフールと左記の馬達の血が見事に脈絡しており、モデルフール≒Buckpasserの5×5クロスと言えます。
スクリーンヒーロー産駒でここを刺激した活躍馬はあまりいないと記憶していますが、今年のダービー馬レイデオロもトムフール、Buckpasserを活用した配合でしたから爆発すれば面白いことになりそうです。

6位はマイネルアーリーですが…この馬もスクリーンヒーロー産駒で4頭目の指名!?なん…だと…!?

この馬は5代内クロスなし。代を広げるとノーザンダンサー5・5×6・6とモデルフール≒Buckpasserの5×6クロスが見えます。

母アーリースプリングは7戦未勝利も、実はGⅠ3勝し最優秀短距離馬に選ばれたカレンチャンの全妹という良血。
ただ、きょうだい2頭はディアイッセイがJRA1勝、ネオが地方未勝利。
この馬もすでに新馬戦を走り1.7秒差の10着と血統のいいところが伝わっていない感じですね。
目指せ未勝利脱出がこの馬のテーマになりそうです。。。

7位はエイシンペガサス
父はドリームジャーニー、母はエイシンパンサー(父コロナドズクエスト)。
エイシンパンサーは2007 - 2008シーズン2勝を挙げ、GⅢファンタジーSでも3着したなかなかの活躍馬でした(最終的には4勝)。
そして、そのエイシンパンサーはかつてのしんぺーさんの指名馬ということでゆかりのある血統ですね。
半兄エイシンリベラル(父マンハッタンカフェ)はJRA1勝。

この馬の配合の狙いは明白。5代内でノーザンテーストの5・4×5と名牝シエリルの5×5クロスが発生していて、オリエンタルアートとメジロライアンが脈絡していますね。
ドリームジャーニーはまだ3世代を送ったのみですが、ノーザンダンサークロスを持つ馬は比較的走っています。
またシエリルはメジロティターンの母でありメジロライアンの祖母。父と母から受け継いだメジロブランドの血が融合すればスタミナ面では心配ないでしょう。

エイシンペガサスはすでにゲート試験を合格していますから、早い段階から走れそうです。

8位に指名したのはモダンジャイブ
父エンパイアメーカー、母ダンスオールナイト(父エルコンドルパサー)。
半姉ダンスアミーガ(父サクラバクシンオー)は5勝をあげ、OPでも好走しました。

配合はノーザンダンサー4×5・5に、ミスタープロスペクター4×4クロス持ち。
2代母がダンスパートナーですから、中山記念ほか重賞2勝したフェデラリストと3/4同血の間柄です。
ただフェデラリストが持っていない血、母父エルコンドルパサーはヌレイエフ≒サドラーズウェルズとSpecial=Lisadellのクロスを持つ近親配合の強い馬でしたから、ややクロスの濃さは気になりますね。
半兄ダンスアラウンドは父がミスプロ系のワークフォースで、さすがにキングマンボ3×3にサドラーズウェルズ3×4がやり過ぎだったのか5戦未勝利。
この馬はそこまでクロスが強いワケではありませんが果たして。

9位のコンダクトレスは全くのノーマークでしたね。まさかホワイトマズル産駒とは…!
ただ、この馬ノーザンファーム生産馬で馬主は飛ぶ鳥を落とす勢いのキャロットファームですから、侮れない感があります。
母ファーストチェア(父ジャングルポケット)は、現役時は未勝利に終わりました。
ただ、牝系はKatiesに遡る名牝系で近親にはアドマイヤムーンがいます。
母の半弟プレイ(父ロックオブジブラルタル)はセレクトセールで1億5000万円以上の高値で岡田繁幸氏に買われたことが話題になった馬でした。

配合を見ると、ノーザンダンサー4×5にDrone≒ヘイローの4×4が発生しています。
全体的には同じホワイトマズルのニホンピロアワーズと血統構成が似ていて、どちらも母系にサンデー・トニービン・ヌレイエフを持ちます。
また、サンデー・トニービンにリファール持ちはハーツクライと同じ。
さらにヌレイエフ×Katiesはヒシアマゾンと共通点があり、地味な印象も走る下地のある血統ですね。

最後の指名馬・10位はフリーガーアス
父はヨハネスブルグ、母はレースパイロット(父サンデーサイレンス)。
母は2勝、フローラSで2着しオークスにも出走しましたが子供は初仔のスラストライン(父Redoute's Choice)がJRAで1勝を挙げたのみに終わっています。

ただ、血統的には2代母がマンファスですから叔父があのキングカメハメハということになります。
ヨハネスブルグはストームキャット系で、母父サンデーサイレンスとは相性の良さが目立ちますから面白い所がありそうです。
また、父系のストームキャットと母系のラストタイクーンがともにノーザンダンサー×ナスキロ配合で、自身が持つノーザンダンサー5×5以上に威力を発揮しそう。
馬主登録がが吉田勝己氏となっているのであまり情報は出てきそうにありませんが、ヨハネスブルグ産駒らしく2歳戦で活躍できるでしょうか。

以上、管理人しんぺーさんの指名馬10頭をレビューしました。
今週、昨シーズンの振り返り&今期の指名馬について語り合うという名目の飲み会が開催されましたが、さすがにみなさんから「ルーカスはまぁわかるがスクリーンヒーロー産駒4頭指名はありえない!!」と総攻撃をくらっていました(笑)。

身内POGでは指名段階で良血度合いに応じて罰符が加算される仕組みで、当然ディープ産駒・ノーザンファーム生産馬・池江厩舎・サンデーレーシング所属なんて馬は罰符が高くなります。
しんぺーさんの指名馬、上位3頭は良血馬でPOG本でも取り上げられていましたが、それ以外は全く触れられていない馬もいて、罰符計算した初期段階ではダントツトップでした。
ただ、シーズンが過ぎてきてディープ産駒の良血馬が走り出すとどんどん順位が下がって来るような気もするんですが(笑)。
まぁ、まだ今季は始まったばかりですからね、どうなるのか推移を見守っていきましょう。


2017年06月17日

今日は先日に引き続き、昨シーズンのGⅠ馬達の血統レビュー牡馬編です。
昨シーズンの牡馬戦線は混戦と言われましたが、その通り3つのタイトルは全て別の馬が戴冠する状況でした。

その中で、まず最初のGⅠタイトルである朝日杯FSを制したのが、サトノアレスでした。
朝日杯が阪神開催となってから3年ですが、そのうち2年をこの馬を含めディープインパクト産駒が制しています。
特にこの馬は6番人気と人気薄での勝利で、まさに血の勢いを見せつけられる結果になったと思います。

改めて血統を見ていきます。
父はディープインパクト、母はサトノアマゾネス(父デインヒル)。
全兄サトノヒーローは4勝、サトノフェラーリは3勝と堅実に勝ち上がっています。
クロスは、5代内ではノーザンダンサーの5×4のみというシンプルな構成です。

ディープ×母父デインヒルはフィエロ、エイジアンウインズ・エバーブロッサム姉妹と同じ組み合わせ。
フィエロとは、母が「ボルキロ」血脈持ちという点でも共通点があります。
ちなみに、フィエロの母ルビーは種牡馬ロックオブジブラルタル(ミッキーアイルの母父)の全妹。
一方、サトノアレスは2代母Prawn Cocktailが種牡馬ロイヤルアカデミーII、ストームキャットの母Terlinguaの半妹。
Terlinguaは父がボルキロ血脈のセクレタリアト、Prawn CocktailもボルキロのArtichokeが父。
そこにノーザンダンサー系種牡馬を配合しているということで、母サトノアマゾネスは近親のストームキャットと似た血統構成。
ディープ×ストームキャットはニックスですから、母とディープの相性は抜群ではないでしょうか。

ちなみに、阪神開催の朝日杯を勝ったディープインパクト産駒2頭の血統的な共通点は、共に母がノーザンダンサーの血を1本のみ持つこと、ボルキロの血を持つことですね。
またデータ的には、2頭ともノーザンファーム生産馬ではないこと、関東馬であること、未勝利→ベゴニア賞からの連勝でレースに臨んでいたことが共通点です。
今年のドラフトは終わってしまいましたが、血統面と関東馬かつ生産牧場の条件を満たすのはダークナイトムーン(サマーナイトシティの2015)。
ボルキロは持たないもののウェストブルック(ターフローズの2015)もイメージに近いでしょうか。

年が明け、クラシック第1弾の皐月賞を制したのは、アルアイン
父はまたディープインパクト、母は米チャンピオンスプリンター牝馬であるドバイマジェスティ(父Essence of Dubai)。

この馬は、全姉ジュベルアリと全弟ダノンマジェスティのレビューを以前にやっています。
その時の評価としてはディープと相性のいい欧州系スタミナ血統がなく、米ナスルーラ血脈が多く一本調子で淡泊なんじゃないか、ノーザンダンサーが遠い代に1本しかないのが心配、と全体的に不安視する内容でした…反省。

よくよく母の血統を見ると、3代前の8頭の系統はA.P. Indy、ミスタープロスペクター、プリンスキロ、ヘイルトゥリーズン、ヒムヤー、インテント、リボー、ナスルーラ。
ナスルーラ系は2本のみと以外にバラエティに富んでいて、結果的にナスルーラは代が離れた位置にいて影響力が薄まっていたのだと感じます。

ちなみにこの馬の血統は望田潤氏、くりがしら氏がすでに指摘されていますが、リアルインパクトと母母父の血統に共通点があります。
アルアインの母母父Great AboveはMinnesota Mac(父Rough'n Tumble)×Intentionallyで母方にBalladierの血を持ちます。
一方リアルインパクトの母母父はインリアリティ(In Reality)で、Intentionally×Rough'n Tumbleという配合、やはり母方にBalladierの血が。
インリアリティは米パワースピードを強く伝え、特に母系に入り力を発揮し、この血を持つディープ産駒は他にダノンプラチナなど多数して、相性のいい血です。

とは言え、やはりこれまでのディープ産駒の成功パターンの血は少ない馬で、母の能力を素直に伝えたにせよディープの底力を見た気がします。
こういう馬が出てくると血統派はつらいですね(笑)。

そして最後に、大一番の日本ダービーを制したのは、一昨期指名したティソーナの半弟、レイデオロでした。
父はキングカメハメハ、母ラドラーダ(父シンボリクリスエス)。

この馬の血統は、過去の身内POG指名馬レビューで簡単に触れました。
簡単に、というのはその時点であまりこの配合を評価していなかった、ということです(笑)。
てか、兄は取って弟は取らない俺ってorz...。

まぁ、この馬の配合で引っかかったのはミスタープロスペクター3×4のクロスですね。
現在はサンデー系主流ですから、過去20年振り返っても、ダービーでミスプロクロス持ちの馬が連対したことはありませんでした。
(母がミスプロクロスを持つサトノクラウンが3着したことはアリ)
ミスプロクロス持ちはキンカメ産駒で言えば、持続的なパワースピードを強調したダート馬(ホッコータルマエ)か、一瞬でトップスピードに乗れるマイラー~スプリンタータイプ(レッツゴードンキ)が出ています。

今年のダービーは近年でも稀に見る超絶スローペースになり、上り33.8という極限の末脚比べ、一瞬のトップスピード比べになりました。レイデオロは途中から前に進出しましたが、まさにレッツゴードンキが勝った桜花賞のようなレースだったと思います(ディープ産駒が追い込んで届かずも同じ)。
ちなみに、やはり上り33.4と34秒台を切った2010年のダービー、こちらを勝ったのはキンカメと同じキングマンボ系のエイシンフラッシュ、2着もキンカメ産駒のローズキングダムでしたね。

さて、レイデオロの細かい血統レビューに戻りましょう。この馬の配合ポイントは3つだと考えています。

①ミスプロクロス+ロベルト+ヌレイエフでNashua≒NantallahとBramalea、Gold Diggerを強化
②ラストタイクーン≒Alzaoで切れ味強化
③Buckpasser、トムフールの継続クロス

①は先ほど出てきたホッコータルマエの配合でも使われているパターン。この馬の母父はシンボリクリスエス、Hタルマエの母父はブライアンズタイムという違いはありますが…。
いずれにせよ、パワースピードを強化する効果があります。

②は父ディープ×母父キンカメ(逆パターンも然り)の配合でキモとなるポイントです。
ノーザンダンサー+ナスキロ・ロイキロで切れ味を強化します。レイデオロは、3代母がディープの母であるウインドインハーヘアのため、この配合を実現できています。
ちなみに今シーズンはウインドインハーヘア牝系からアドマイヤミヤビ(GⅢクイーンC)も出ており、今後も目の離せない牝系ですね。

③これは非常に珍しいパターンの配合かと思います。
レイデオロは父キンカメが5代前、母ラドラーダが4代前にそれぞれにBuckpasserを保有して6×5クロスを持ちます。
さらに、母ラドラーダはトムフールの6×5クロスを持つのですが、さらに代を広げ細かく見ると母方Sir Ivorの母AtticaはトムフールとPharamond、Alcibiades、Sir Gallahad=Bull Dogが近い代で共通しており、ニアリーな関係。
つまりレイデオロ自身は遠い代でのクロスではありますが、トムフール≒Atticaの7×7・6・7クロスを持つことになります。
ダイワメジャー産駒でもトムフール - Menow の血を持つ馬は成功していて、この血を活かす配合は有効、という感じがあります。

と、色々レイデオロの配合について述べてきましたが結局自分はPOGで指名できなかったワケで(哀)。
今年はダービーがスローペースになった中でこの配合(と、一番大きかったのはルメールJの騎乗)が活きたワケですが…ダービーのペースまで指名時に予想するのは無理ですよ。。。
ただ、サンデー系産駒はミドルペースに強い馬、こういうキンカメ産駒をスローペースに強い馬として指名を振り分けるのは有効、という教訓はあったのかな…。

さて、昨季の振り返りはこれで終了。
アドミラブルがダービーで負けた後は数日間真っ白になってブログを書く気も起きませんでしたが(苦笑)、すでに新馬戦が始まってる今期の指名馬レビューを明日から始めようと思います。


2017年06月11日

レイデオロによる藤沢和雄調教師の悲願のダービー制覇で幕を閉じた昨シーズン。

自分は、アドミラブルのダービーの結果次第で身内POGの逆転優勝の目もあったのですが、レース結果同様追い込み届かず…
最終的には全頭出走と重賞制覇(2勝)という当初掲げた目標を達成し、結果も15人中6位でプラス決算とまずまずの結果ではありましたが…やや悔いの残る結果でした。

当ブログ的には、昨年から今年にかけては仕事の都合等もあり更新が滞っていたので、一旦備忘録的にGⅠ馬達の血統レビューをし、今後の糧にしたいと思います。
今日は、牝馬編として2頭をレビュー。

まず1頭目は、GⅠ2勝を達成し名牝への道を歩み出しているソウルスターリング
サドラーズウェルズ系Frankel産駒の大活躍は、サンデー系が席巻する日本競馬界の血統に一石を投じることになったと思います。
去年の今頃は、「いくらFrankelが速くて強い馬だったっていっても、サドラーズウェルズ系だろ?日本の高速芝には合わないね!」とタカをくくっていました。
タイムマシンで過去に戻れるなら、そんな自分をブン殴ってやりたい(笑)。

配合的には、ノーザンダンサーの4・5×5クロスはありますが、うまく主流血脈と異系血脈をマッチさせた配合でしょう。
FrankelはGalileo×デインヒルのノーザンダンサー3×4クロス持ち同系配合馬で、父母アーバンシー(Miswaki)、母母Rainbow Lake(Rainbow Quest)と主流血脈の濃い血統。
一方母スタセリタはMonsun×Dashing Bladeで5代内に父母間のクロスがない異系配合馬。
ノーザンダンサーの血を濃くしすぎずに、影響力をフルに活かすことができています。

最近、社台グループがさかんにドイツ血脈を持った牝馬を輸入したり、Monsun産駒のノヴェリストを種牡馬として輸入したりしているのも、サンデー・ミスプロ・ノーザンダンサーで飽和気味の中で異系血脈により活力を入れるためでしょう。

ちなみに、今後のFrankelの狙いとしては母がノーザンダンサーの薄い馬になるかな~、と。
まだ産駒は6頭しか走っていませんが、同じく重賞勝ち馬となったミスエルテは5代内にノーザンダンサークロスなし。
代を広げると母はノーザンダンサー6×5・6クロス持ちですが、かなり影響力は薄まっています。
一方、その他のFrankel産駒はいずれも母方の4代前にノーザンダンサーの血を持ち、その濃さゆえかフローラデマリポサが1勝を挙げたのみです。
ま、産駒数が少ないのでFrankelの配合研究はまだこれからの話ではありますが、とにかくノーマークにできない種牡馬になったのは間違いないかと。
個人的には、この種牡馬はすでにサドラーズウェルズ系ではなく、Frankel系として別の個性を発揮し始めているように思いますね。

さて、2頭目は桜花賞を制したレーヌミノル
この馬の血統は以前のエントリでもレビューしていますが、母系を見ていくとポイントになりそうな点があったので、その補完版として少しコメントを。
それは、ダイワメジャー産駒の好配合ポイント・母がハイペリオン濃いめを発展させた、「母がナスルーラ×ハイペリオン濃いめ」です。

ナスルーラ×ハイペリオンは最近、血統評論家の望田潤氏がよく『ナスペリオン』と呼んでいるニックス配合です。
東京競馬場など直線の長いコースで力を発揮する、ナタのような斬れ味を引き出すもので、トニービンなんかが代表格。

一方で、昔に種牡馬として一世を風靡した「お助けボーイ」ことテスコボーイもその代表格といえ、レーヌミノルは3代母ギフトプリンセスがその娘です。
ギフトプリンセスは、ハイペリオン3×4持ちでハイペリオンを強化。
さらにその娘、2代母プリンセススキーは父がナスルーラ3×4のロイヤルスキーで、まさにナスペリオンの塊。現役時代には、GⅢラジオたんぱ3歳牝馬Sを制しています。
母父タイキシャトルは、3代前にもつThatchがナスペリオン血統。
さらにその父Devil's BagはMahmoud4×4クロス持ち。Mahmoudは母Mah Mahalは、父がハイペリオンの父でもあるGainsborough、母Mumtaz Mahalがナスルーラの母母。直接的にはありませんが、ナスペリオンを強調する形なのは間違いないでしょう。

今、現役最強馬として君臨するキタサンブラックも母父がザ・ナスペリオン配合馬といえるサクラバクシンオー。
もともと、サンデーはナスペリオン配合馬のトニービンと相性が良かったんですが、今後はテスコボーイのラインを通したナスペリオン配合とサンデー系種牡馬の組み合わせが強さを発揮するかも?