2015年08月

2015年08月30日

これぞ良血馬!の本馬。
母は米でGⅠ11勝、父と合わせれば驚異の18冠ベイビーです!
もう、このプロフィールだけで種牡馬になれちゃうでしょ!? 
今年2歳の全兄もセレクトセールで2億5200万円という超高額で落札されていますが、本馬はさらにそれを超える2億7000万円での落札!もう、別世界の話ですよ(笑)。
購買者は、久々の登場(?)の近藤利一氏。初期のセレクトセールと言えば近藤氏ってイメージでしたよね。

では、血統を見ていきましょう。
母アゼリは、米国馬ですが欧州血脈を豊富に持ちます。近年は米国馬でも、米血一辺倒ではなく、欧州血脈のサポートを受けた血統の馬がGⅠで活躍するんだなと、今年の米国3冠馬American Pharoahを見て思いました。

アゼリの父ジェイドハンターは母Jadanaが愛国産馬で、ハイペリオンやBlandfordクロスといった血を抱えています。
また、アゼリの母Zodiac Missは豪州産馬ですが、豪州は欧州血統が輸入されベースとなっているので、ディープと相性のいいトライマイベストや、リファールの母父であるCourt Martialクロスなどを持っています。

で、アゼリの2014は母父ミスプロ系でありながら、リファールクロスとCourt Martialの多重配合による粘り強さ、トライマイベストのパワーが融合したナイスな配合です。
ちなみにトライマイベストってハイペリオン4×5に、母Sex AppealがWar Admiral×名牝La Troienneの組み合わせであるBusanda≒Mr. Busherの2×3という強烈な相似配合を持つため欧州とアメリカのパワーが融合したような馬です。
しなやかさはあるがパワーの補強が必須なディープと相性がよく、マルセリーナなどが出ているのも納得。

アゼリ自身がやや高齢になってきているのは懸念点ですが、近年は高齢の母からも活躍馬が出るパターンもあり、ノーザンファームのノウハウでそのあたりが影響しなければ大物誕生も夢じゃありません。
全兄の走りともども、要注目ですね。


2015年08月29日

さて、2015-2016年度のPOGが始まって3ヶ月ほどですが、4月にブログを始めてディープ産駒とキンカメ産駒のレビューぐらいしかできなかった今期の反省から、少し早いかもですが、来年のPOGの主役となる現1歳馬のレビューを進めていきます!

まず記念すべき1頭目は、ディープ産駒の中から今年のPOGでも指名したタイムレスメロディの全妹となるアコースティクスの2014を紹介します。

血統的なところは今年の指名馬レビュー↓等で色々紹介したんでもういいすか(笑)。

簡単におさらいしておくと、自分的に注目のディープ×キングマンボ配合の持ち主で、しかもヴィルシーナと同じMachiavellian × ヌレイエフ持ちであることがポイント。
また、Alzao≒Green Desert の3×3にHalo≒Sir Ivor 3×5×5×5で機動力・キレを強調した配合。
さらに、ディープと相性の良いTudor Minstrel持ちもポイント。

全体的に見ると、ヴィクトワールピサに似た配合系ですね。
サンデー系の父に母系にMachiavellianとLorenzaccio、ヘイロークロス、Bustedクロス…。
父の違いやノーザンダンサー系のあるなしなどの違いはあるのでヴィクトワールピサのほうが「硬質」なイメージはありますが、直線の短い内回り戦で機敏に動けるタイプという印象は共通してます。

プロフィールですが、タイムレスメロディがシルクHCさんでの募集になったのに対し、本馬は2014年のセレクトセール当歳馬セッションで8400万円にて池谷誠一氏に落札されています。
氏の代表所有馬といえばプリサイスマシーン。ちなみに、昨年の指名馬アンタラジーの馬主さんでもあります。
個人所有ですが、某競馬サイトの掲示板でよく書き込みをしてくれる馬主さんなので、情報はよく入ってくるかと(笑)。

全姉の走りと合わせて、大注目の1頭です。


2015年08月23日

今日の新潟5R・牝馬限定2歳新馬戦(芝1600m)で、身内POGで6位指名したサプルマインドがデビューしました。

レースは、1000m通過62.6の超スローペース。サプルマインドはそんな中でもしっかり折り合い悠然と中段に構える競馬。
直線は馬群に突っ込むと、M・デムーロJのゲキに応え、一気に差し脚を伸ばします!
抜群のキレ味で直線残り150m地点で前を捕えると、あとは流す余裕で見事2.1/2馬身差のデビュー勝ちを飾りました
上り3ハロンも33.4(11.2-10.9-11.3)のキレ味勝負の競馬で、上り1位の32.5を記録。最後は流しての数字ですから高い価値があります。

レース後はM・デムーロJもある程度のリップサービスもあるかも知れませんが、「今、いちばん強い牝馬なのではないでしょうか。」とのコメント。
ただただ嬉しいですね(笑)。
スタートも良く、道中の折り合いもスムーズ、ややバラけていたとはいえ馬群にも突っ込んでいけましたし、距離が延びても対応できそうとも。

さて、この馬の血統は下のページで解説してます。

ディープ産駒ながら母父MtotoでBustedの4×3クロスという個性派。
ただ、ノーザンダンサーの多重クロスは持っていますし、Alzao≒Green Desert、ウインドインハーヘア≒シリアスアティテュードという強烈な相似クロスも持っています。
母自身もスプリントGⅠを2勝した名牝ですからスピードとパワー、底力とスタミナなどのバランスが良い具合に出てくれたかなと。

実は、この馬は先週の新潟芝マイルの新馬でデビュー予定でしたが痛恨の除外。
直前の追切では戸崎Jが駆けつけ、調教を付けてくれました。しかも時計は体重の軽い戸崎Jが乗ったとはいえ、66.0-37.3-11.6の好調教!
けっこう期待していただけにガックリ…。
ガサのあまりない馬だけに、これが悪い方向に出なければ…という懸念材料はありました。

それでも、今日は424kgとまぁ輸送込みならギリギリ走れるだろう!という馬体。
今後はもちろん厳しいレースを走りぬくために馬体増を希望しますが、今春馬体重430kgでミッキークイーンがオークスを制しましたから、あと6kg増えてくれればOKかな?
今後は関西圏でのレースを選択することになると思いますし、なんとか無事に行って欲しいですね。


2015年08月22日

さて、本日入厩の運びとなったわが愛馬・アーチキング(プロフィタビリティの13)
前回の予告通り、このブログらしく血統考察をしていきます。

まず、プロフィールから見ていきましょう。
父のArcharcharchは米7戦3勝。重賞は、GⅠアーカンソーダービーとGⅢサウスウェストの2勝を挙げた中級種牡馬です。
前哨戦を制し臨んだケンタッキーダービーでは15着と大敗し、そのまま引退。
今年2歳の産駒が初年度産駒となります。

母のプロフィタビリティは、米英22戦3勝でステークスは2着2回。
初仔で半姉のCarolina Jasmineも11戦1勝と、競争成績はおせじにも良いとは言えないファミリーです(笑)。
いちおう、曾祖母のBanker's LadyはトップフライトHなどGⅠ3勝。その息子Banker's Gold(父フォーティナイナー)はGⅡ2勝で種牡馬入りしていて、近親には活躍馬がいます。

さて、この馬の生産者のSpendthrift Farm LLC(スペンドスリフトファーム)からは、これまで4頭の馬が日本に輸入され、全頭がデビューし2勝以上をあげる高アヴェレージをあげています。
この牧場は今は小規模な生産のみを行っており、種牡馬繋養業がメインになっています(本馬の父Archarcharchも繋養)。
しかし、もともとはミスタープロスペクターを生産し、シアトルスルー、アファームドなどを繋養していた名門牧場です。

では、血統を見ていきましょう。
5代内クロスはミスプロ4×4、ノーザンダンサー5・5×5、バックパサー5×5を持つアーチキング。
この馬はロベルト系×ブラッシンググルーム系の配合ですが、この配合から日本ではマヤノトップガン、海外ではKris KinといったGⅠ馬が出ています。ブラッシンググルームの底力がハマり、一発当たるとデカい大物感のある配合ですね(笑)。

父Archarcharchはロベルト系×ミスプロ系の配合。
これはロベルト系のニックス配合の一つで、日本ではフリオーソ、チョウカイキャロル、ストロングリターン、ノーリーズンなどがこの配合です。海外でもArch産駒のBlameなど、多数の馬がGⅠを勝っています。
ロベルト系のパワー・爆発力とミスプロ系のスピード・柔らかさが合うんでしょう。 

また、母のプロフィタビリティはブラッシンググルーム系×ミスプロ系の配合。
この配合はブラッシンググルーム系のニックスであり、海外ではプロフィタビリティと同じCherokee Run産駒のGⅠ馬War Pass、Yonaguskaの母父がやはりミスプロ系です。

さらに、活躍馬の曾祖母Banker's Ladyの父はニジンスキー。
ロベルト系×ニジンスキー系もライスシャワーなどが出ています。ニジンスキー系自体が母父として優秀ではありますが、これもニックスと言ってよいのでは。
ということで、本馬はロベルト系×ブラッシンググルーム系×ミスプロ系×ニジンスキー系のトリプルニックスにあたる配合です。
また、先ほど名前を挙げたArch産駒のBlameは、母父シーキングザゴールド×母母父ニジンスキーで、その母Liableが本馬の祖母ルークラティブと同じ配合系です。
Blameはエクリプス賞年度代表馬にも輝いた名牝Zenyattaを破ってブリーダーズCクラシックを勝った馬。
その馬と配合系が似ているワケですから期待しちゃいます(笑)。

では、配合をもう少し細かく見ていきましょう。
この馬が持つミスプロ4×4とバックパサー5×5のクロスですが、実はArcharcharchの母父ウッドマンと祖母ルークラティブの父(母母父)シーキングザゴールドに由来しています。
つまりこの馬はウッドマン≒シーキングザゴールドの3×3相似クロス持ち。
ウッドマンはヒシアケボノ、シーキングザゴールドはシーキングザパールとそれぞれ日本で芝短距離GⅠを勝っています。
一般的なミスプロクロスといえばダート適性が上昇しますが、上記相似クロスの影響で芝適正とスピードが強化されていると…いいなぁ(笑)。

さらに言えば、上記相似クロスに加え、Archarcharchの母Woodman's Dancerがウッドマン×ヌレイエフの配合、祖母ルークラティブがシーキングザゴールド×ニジンスキーの配合ということを考えれば、Woodman's Dancer≒ルークラティブの2×2相似クロス持ちともいえるのではないでしょうか。

父のArcharcharchは初年度産駒ですし、母もまだこの馬で2番仔なので産駒の傾向は細かくはわかりませんが、純粋にクロスや配合だけ見るとパワー寄りの配合であることは間違いないかと思います。
母父Cherokee Runというのも代表産駒がホッコータルマエですしね。
ただ、同時に芝の大物が出る配合系でもあることから、個人的には期待してるんですよね。

まだデビューはこれからですが、とりあえずは1勝目指して頑張ってほしい。あわよくば、出資額をペイしてくれれば最高です(笑)。


2015年08月19日

もう1ヶ月以上前になりますが、シルクホースクラブさんで一口デビューしたことを記事にしました。
出資馬は、アーチキング(プロフィタビリティの13)というマル外馬です。

アーチキングは海外トレーニングセール出身馬らしく、日本到着後は順調に調整されて来ました。
そして、なんと今週末に美浦・木村哲也厩舎へ入厩する運びとなったのです!!すばらしい!!!
アーチキング_20150814

2015/8/14 福島県・ノーザンファーム天栄 在厩のアーチキング
 
なかなかいい馬体になってきたんじゃないかと(あくまで贔屓目込みですが)思います(笑)。
だいたい馬を買っても、なかなかデビューすら出来ない…なんて話もある中で、ここまで順調に入厩にこぎ着けられるなんて思ってもみませんでした。
そもそも、この馬あまり人気がなくて(笑)締切間近の現在でも残口わずかのアナウンスがないんですから(笑)。
でも、なんとかデビューしてくれる馬を…ということでこの馬に出資したワケなので、とりあえずここまでは来てくれないと困るんですけどね。。。
 
まずは無事入厩できたらゲート試験という関門が待っています。
そこで合格しても再放牧というパターンもありますし、デビューまだはまだ時間がかかりそうですが、それでも初出資馬の朗報には胸が躍るものがあるというか。。。POGの指名馬とはまた違ったドキドキ感がありますよ。

そして、無事に入厩してもトレセンでの実践に向けた厳しいトレーニングが待ってますし、無事デビューしても勝ち上がれるかは別の問題。でも、たぶんデビュー前ってみんな愛馬がどれ位走ってくれるのか期待ばかりだと思うんですよね。
自分が持った初めての馬なので、余計にそう思うのかも知れませんが。

厩舎は、新進気鋭の木村哲也師
今年管理馬のアルビアーノがフラワーCで初重賞制覇を成し遂げ、さらにNHKマイルCでも2着しました。
ノーザンファームとは結びつきの強い、今後期待の若手調教師さんです。 
この馬がアルビアーノと並んで木村師の初期の代表馬の一頭になってくれれば嬉しいんですけど(笑)。

さて、せっかくなので次回以降は本ブログらしくPOG的な観点でもアーチキングを斬ってみようかと思います!


2015年08月16日

今回は、セレクトセール2015・当歳馬セッション高額馬レビュー最終回となる3回目です!

5頭目の紹介は、シルヴァースカヤの2015。ディープインパクト産駒の牡馬ですね。
「バローズ」でおなじみ、猪熊広次さんが1億2000万円で購買されました。

さて、本場の全兄シルバーステートと言えば7/25の中京未勝利戦で5馬身差レコード勝ちという派手な勝ち上がりで、すわダービー候補か!?と話題になっています。

母シルヴァースカヤは欧州でGⅢを2勝しています。近親には種牡馬シックスセンスがいますね。
母の初仔Seville(父Galileo)は豪GⅠザメトロポリタンを勝利しています。
初めてディープを配合された全兄オリハルコンこそ2勝しかできていませんが、どう見ても重賞級のシルバーステートの走りを見れば、血統的ポテンシャルの高さは疑いようがありません。

で、その血統なんですが母父はアンチニックスのロベルト系・シルヴァーホーク
ロベルトを持つディープ産駒は、ロベルトの位置が遠くなり影響力が薄まるほど好成績を挙げることが多いです。
母父クロフネ経由でロベルトを持つシャイニングレイ、ポルトドートウィユ、ステファノスなどはロベルトが6代目。
なので、母父ロベルト系でその血を4代目に持つサトノラーゼンのPOG期間中の重賞勝ちは、自分がディープの血統を調べ始めてからのなかなかにセンセーショナルな出来事でした。
ま、サトノラーゼンは血統表の他の部分にカーリアンなどディープと相性のいい血を持ってたというのはありますが…。

では、シルヴァースカヤの2015の場合は?
まずロベルトが自身3代目と非常に近い位置。そして、これと言って相性がいいと思える血が他にない…。
やはり、血統だけ見ると高評価は難しいかも。。。
果たしてこの馬はどれだけ血統オタクの低評価を覆すのか!?(笑)兄シルバーステートの今後の走りともども注目です。


6頭目は、またまたディープ産駒の牡馬・ソーメニーウェイズの2015
またしても登場の里見治氏が1億1500万円で購買されてます。

母は米国でGⅠスピナウェイSなど短距離重賞を3勝。いまや定番となったディープ×短距離馬の母という組み合わせです。
母の血統ですが、これがいかにも現代のアメリカ血統!といわんばかりの配合(笑)。
シアトルスルー4×4、セクレタリアト4×5、母の血統からノーザンダンサー5×5、父の血統からレイズアネイティブ5×5とボールドルーラーてんこ盛り、ノーザンダンサー(しかもデピュティミニスター内包)クロス、ミスプロの血とまさに今の米国血統が凝縮されてます。

さて、この馬はTapit産駒などの活躍で今後増えていくであろう母父A.P. Indy系のディープ産駒です。
まだサンプル数は少なく、活躍馬がいないので判断は難しいですが、A.P. Indy自身がナスキロの塊のような種牡馬ですから、他の部分でパワーなどを補えるかが重要かと。

で、この馬は母父Sightseeingの母系にPleasant Colony、母母父がデピュティミニスター系のデヒアとそれなりにパワーはありそうですが…やはりシアトルスルーとセクレタリアトのクロスで馬体が緩くなり、POG期間中は仕上がるかどうかの不安が付きまとう気はしますね
まぁ、この馬は母の初仔でもあり、キャリア全体での活躍は別にして、POGでは積極的には指名しないかな~。


最後の紹介となるのはディナシーの2015
なんと(と言ったら失礼?)クロフネ産駒の牡馬です。
金子真人ホールディングス(株)さんが1億円ちょうどでお買い上げ。

しかし、クロフネ産駒で1億円とは…。
そんな本馬のプロフィールですが、母のディナシーは2006年のセレクトセール当歳馬セッションにおいて、世界最高額の6億円で落札された馬だったんですよね。
で、なんでそんな値段が付いたかと言えば、「父キングカメハメハ、母トゥザヴィクトリー」というその血統が理由。トゥザグローリー、トゥザワールドらの全姉ってわけです。

ただ、母自身は未出走で引退。
それでも初仔のヴェルデホ(父シンボリクリスエス)は3勝をあげてます。2番仔アルーシュは未勝利で引退しましたが、父チチカステナンゴですから…(哀)。3番仔ミッキーディナシー(父ハービンジャー)はまだデビューしていません。

さて、これまで付けられた父のラインアップからすると、父クロフネならそれなりに期待ができるのでは?と思いますが。。。
血統的にクロフネ×母父キンカメという馬はイマジンシチーが2戦未勝利で引退したのみですが、イマジンシチーはサンデーの血を持たないため、スピードに欠ける面はあったと思います。
この馬は母系が名牝系ですから、底力も十分かと。ただ、やはり芝よりはダート向きかなという印象はぬぐえませんよね。

しかし、金子さんにとっては母母、母父、父ともに自分の持ち馬だったわけですから、この馬には言葉にはできない思いがあるかもしれません。
なんかリアルにダビスタやウイニングポストをやってる感じですよね。ひたすら羨ましい(笑)。


さて、これでセレクトセールの億馬のレビューが完了。
今後は2歳馬の重賞や新馬勝ち馬のレビューと、来年デビュー予定の1歳馬のレビューをしつつ、たまーに一口馬の動向を書いていこうかな、と思ってます。


2015年08月15日

さて、今回はセレクトセール2015・当歳馬セッション高額馬レビュー2回目。

3頭目の紹介となるのはベルワトリングの2015(牡)です。
ディープインパクトの本馬は、1億2500万円で島川隆哉さんが落札されてます。ホントお金持ってるな~(笑)。

母のベルワトリングは珍しいチリ産馬ですが、当地では21戦13勝・GⅠは南米JC&競馬場協会大賞など5勝を挙げ、2010年にはチリ年度代表馬にも選ばれている名牝です。

しかし血統は、母父Dushyantorがサドラーズウェルズ×ロベルトという、ディープとアンチニックス配合!
Dushyantorの母は種牡馬ウォーニング・コマンダーインチーフを産んだ名牝Slightly Dangerousなんですが、これいいんでしょうか。。。個人的にはこれだけ見ると嫌いたいんですけど(笑)。
ただ、今年はロベルト持ちのサトノラーゼンが京都新聞杯を勝ったことですし、ちゃんと血統全体を見る必要はありますね。 

で、他の部分を見てみると母母父The Great Sharkはハイペリオン5×4のノーザンダンサー系種牡馬でマンノウォー持ちなのでパワーと硬質なスピードに特化。
3代母父DomineauはNever Bend産駒でゆるーいナスキロ配合持ちなのでキレを補強してくれるはず。
4代母父Damascus Silverはダマスカス産駒でこれまたパワーと硬質なスピードを補強。

うーん、個人的な感想としては全体的パワーと硬質なスピードは十分なんですけど、しなやかさやキレを補強してくれる血はやや足りないかな、という印象。
後は母の名牝たる能力がどれだけ爆発してくれるかでしょう。


4頭目はケアレスウィスパーの2015
購買者は(株)ジャパンヘルスサミットさんで、購買額はベルワトリングの2015と同額の1億2500万円
一見、(株)ジャパンヘルスサミットさんって見慣れない名前なんですが、馬主プロフィール等に詳しい競馬オタクの方々(笑)はきっとピンときているハズ。これ、島川隆哉さんの会社の名前なんですよね。
というワケでまたまた島川さん祭りかーい!(笑)というツッコミが入るほど、お買い上げまくりですねぇ…一般庶民には遠い世界だ…( ゚д゚ )。

さて、本馬の血統はハービンジャー×ケアレスウィスパー。
全兄トーセンバジルは2歳500万特別勝ち、重賞でも掲示板にのっています。

そして母系は最近活躍馬出まくりの、クラフテイワイフ一族
近親にはカンパニー、トーセンジョーダンのGⅠ馬ほか重賞勝ち馬多数。
この馬の3代母クラフテイワイフは、Crafty Prospector×セクレタリアトというアメリカンパワー&スピードを凝縮したような配合。
そこに日本向きの万能性を持つノーザンテーストが配合されたのが、2代母エヴリウィスパー。
で、本場の母ケアレスウィスパーは父がフジキセキ。

母父としてのフジキセキは、スタミナ&パワー寄りのミルレーサーの血の影響か、先行してしぶとい仔を出します。
さらに父がハービンジャーで、ノーザンダンサーの5・7・5×4ですからパワー向きに大きくふれた配合かとは思いますが、それでも将来的には重賞にも手が届くかも…という兄の成績を考えれば、この値段になってしまうのは仕方なし?


2015年08月09日

予告通り、今回からはセレクトセール2015・当歳馬セッション高額馬レビューです。
さすがに産まれて数ヶ月の当歳馬はデビューが2年後で、途中で順調にいかないこともあるし、ただでさえ馬体を見ても細かいことは分からないのに(笑)、幼すぎて血統以外はよくわからん!ということでサクッと進めていきます。

まず1頭目は、当歳の最高額をマークしたウィーミスフランキーの2015
ディープ産駒の牝馬で、取引額は1億8000万円!!お買い上げは(株)ダノックスさん。「ダノン」の冠名で有名な野田順弘さんの会社ですね。

母は米国産馬で、鋭い末脚を武器に2歳GⅠオークリーフS、デルマーデビュタントSを連勝しています。
母父Sunriverはヘイロー系種牡馬で、競争成績はGⅡピーターパンSが主な勝ち鞍。ウィーミスフランキーが唯一のGⅠ勝ち産駒です。

ウィーミスフランキーの2015の配合としては、ヘイロー3×4・ノーザンダンサー5×5を持ち、大まかに見て父と母父の相似配合という感じです。
ということはこの馬はヘイロー系の同系配合馬というワケですが、サンデー系の馬で母父もヘイロー系の同系配合馬というと母父タイキシャトルのワンアンドオンリー、ストレイトガールが双璧…というか、その他の母父の馬は活躍馬がいません。
とはいえ、この馬の母父父Sunriverはその父Saint Balladoがタイキシャトルの父Devil's Bagの全弟。母系もノーザンダンサーやナスルーラがタイキシャトルと共通なので、比較的似た血統構成です。
つまり、母父として成功する可能性は十分あるといえます。

また、母の血統は5代内にNothirdchanceの5×5、母方にEight Thirtyの5×5と異系血脈のクロス持ちで、米国産馬としては珍しくミスプロ、ボールドルーラーの血を持ちません。
さらに母母Starinthemeadowは父がプリンスキロ系Meadowlake、母父Our Michaelも傍系の雑草血統で、母系はアメリカンパワーと活力が豊富といえそうです。
あまりこれまでのディープ産駒にはないパターンの面白い配合じゃないでしょうか。


2頭目は、ギーニョの2015
おなじみ島川隆哉さんが当歳牡馬最高額となる1億5500万円でお買い上げ。

母は現役時代2勝で終わりましたが、血統は名牝トゥザヴィクトリーの全妹と筋が通っています。
トゥザヴィクトリーはすでに息子のトゥザグローリー・トゥザワールドが重賞でも大活躍し繁殖牝馬としても名を上げています。本馬は母が初めてキンカメをお相手に迎え、叔父となるトゥザグローリー・トゥザワールド兄弟と血統構成が全く同じになるので、爆発すれば活躍が見込めるというワケです。
さらに、半妹ベネンシアドールもディープとの配合でデニムアンドルビーを産んでおり、今勢いのあるファミリーですね。

血統的にはTudor Minstrelクロスでキンカメ大好きなハイペリオンと×Lady Josephineの組み合わせのクロスが発生し、さらにこれでもか!というくらいのハイペリオンクロスがパワーや硬質なスピードといった要素を爆発的に増幅しています。
ま、すでに結果が出ている配合ですから、今さらゴチャゴチャ言うのも何ですね(笑)。

ただ、全体的にハイペリオンが濃いと成長力があるが晩成傾向にありがちなのは「POG的には」要注意でしょうか?現にこの一族の馬達は3歳時はGⅠには手が届いていませんからね。
ただ、リアルオーナー的にはいい買い物をされたんじゃないでしょうか。
キンカメの爆発力が発揮されれば、叔父超えも期待できるかも知れません。


2015年08月04日

週末は旅に出ていたため、久しぶりの更新です。
今回はセレクトセール2015の1歳馬セッション高額馬レビュー最終回としたいと思います。

まず、1億1千万でまたまた里見氏が購入されたのがコンテスティッドの2014
母は米国産馬でエイコーンS・テストSとGⅠを2勝していて、牝馬ダートマイル路線の活躍馬

母の父GhostzapperはBCクラシック(レコード勝ち)などGⅠ4勝し、年度代表馬に選ばれた名馬です。
血統的にはフレンチデピュティらと同じDeputy Ministerの系統に属する馬ですので、ダート向きのパワーとスピードが特徴でしょうか。
Ghostzapper産駒の活躍馬は、祖父にあたるAwesome Againのノーザンダンサー・ミスプロの血をクロスするか、Ghostzapperの母父父にあたるIn Realityをクロスしてダート向きのパワーとスピードを増幅する、というのが定番の配合になっています。
コンテスティッドは上記3つのクロスすべてを持っていて、まさに馬力型アメリカ娘という表現がピッタリ?(笑)

ディープとの配合では5代内クロスこそありませんが、母はパワー型の配合かつ他にもパワーを補強してくれるBlushing Groomの血を持っていますから、まさにディープのお相手にはピッタリじゃないでしょうか。


さて、では1歳馬セッション高額馬レビュー最後の1頭へ。
最後はキンカメ産駒で唯一の1億越え、トリプレックスの2014です。
この馬の購買者は「ダイワ」でおなじみ大城敬三氏。あまりセレクトセールで高額馬を買う印象はないので、少し意外な感じです。

この馬の母トリプレックスは、これまで紹介してきた馬達の母と違いサンデー産駒の内国産馬
現役時代は社台RHの馬として角居厩舎に所属し、30戦4勝・主な勝ち鞍は1000万下のフィリピンTという中級馬でした。
その母トリプルワウは米国からの輸入牝馬で米GⅢネクストムーヴHが主な勝ち鞍。
近親にも重賞勝ち馬はいてもGⅠ勝ち馬はおらず、本馬の兄弟も7頭中5頭は中央で勝ち鞍を挙げていて堅実な一族ではあるのですが、とはいえ1億の値がつく程の馬か?と言われると…。

血統的にも、キンカメ産駒の配合のキモと言えるラストタイクーンの増幅、ハイペリオン×Lady Josephineの組み合わせのクロスどちらも持っていないし…。

すでに上場馬の動画は見れなくなっているのですが、これはよほど馬のデキが良かったのか?と勘ぐってしまいますよ(笑)
まぁ、個人の馬主さんの馬なので細かい情報は知りようがないのですが、どこの厩舎に入るかも含め注目。
関西なら矢作厩舎or松田国厩舎、関東なら上原厩舎or国枝厩舎かと予想しますが、本命は半兄ミエノワンダーを管理する国枝厩舎かな!?


これで1歳馬は終わったので、次回からは当歳馬セッション高額馬レビューを「簡単に」行きたいと思います。