2020年05月03日

ついにやってきました。
5月にさしかかり、来期POG指名馬選考も始めつつある中でようやく今期POG指名馬のレビューが終わります(苦笑)!
今期は相変わらずの遅筆に加え、祖母の逝去に自身の手術と様々な事情が加わり、まさかこんな時期になるとは…。
ま、上記2要因は自分でどうこうできる話ではないので仕方ないと割り切ってますけど、来期のレビューはもっと早い時期に終わらせたいですね。
というのも、再来期は日本で走るディープインパクト産駒は少ないハズで、その分様々な種牡馬の産駒を見なければいけないから…。
去年ディープもキンカメも逝去しましたが、亡くなるにはまだ早すぎですよ…。。
それでも、これから始まるディープ・キンカメ以降の新しい種牡馬達のPOGにいち早く対応し勝ち組になりたいですね!


さて、ニュースなどで報道されている通りGW中に緊急事態宣言の1ヶ月程度の延長が決定しそうです。
政府対応が全くアテにならず、様々なところから安倍総理の無能ぶりや安倍夫人のKYぶりなど叫ばれていますが、まだまだコロナの収束には時間がかかり緊急事態宣言も1ヶ月の延長で済むのか不透明‥。
せめて、無事に競馬が続いている競馬を見て束の間の非日常を楽しみたいですね。

そして、このブログを見られている方は競馬好きの中でもPOGを楽しまれている方が多いハズ。
来期POGの指名馬選びは家から出ずに楽しめますから、今この「STAY HOME」の状況で時間をつぶすにはもってこい!
…というか、毎年自分はドラフト直前まで「時間が足りないよ~」と言っている状況なんですけどね(笑)。。。


さて、最終回となる2019 - 2020シーズンの身内POG指名馬レビューはむらやまさんの指名馬を見ていきます。
これまで9回の参加で2回の優勝を誇り、優勝率・プラス率ともにトップ!
なにせ、参加初年度にオルフェーヴルを指名しているんですからそりゃね…。
他にもダービー馬レイデオロ、皐月賞馬サートゥルナーリアなどを指名されていますが、仲間内では期間内GⅠを勝っていないエピファネイアと呼ばれています(笑)。
もちろんエピファネイアは期間内1億9000万円以上稼いだ大活躍馬なんですが。。。


1位.ヴァーダイト(クリソプレーズの2017)
2位.リリレフア(リリサイドの2017)
3位.バトーデュシエル(エルダンジュの2017)
4位.サトノフウジン(コンテスティッドの2017)
5位.ヴィクターバローズ(モスカートローザの2017)
6位.ダノングロワール(ソーメニーウェイズの2017)
7位.ウインマリリン(コスモチェーロの2017)
8位.ウインラディアント(サマーエタニティの2017)
9位.エルセンブルグ(アイスフォーリスの2017)
10位.サトノポーラスター(ゼラスキャットの2017)


1位指名はヴァーダイト(牡)。
父はディープインパクト、母はクリソプレーズ(父エルコンドルパサー)。
生産はノーザンファーム、馬主はキャロットファーム、栗東・音無秀孝厩舎所属。
キャロットファームにて一口30万×400口の総額1億2000万円で募集されました。
当然ディープインパクト産駒の注目馬として名前をあげています。

母は現役時代3勝の下級条件馬でした。
それでも、母と同血のおじアロンダイトはGⅠジャパンカップダート勝ち。
そして豪華なのは本馬のきょうだい達。
父ゴールドアリュールの半兄クリソライトはGⅠジャパンダートダービー・コリアCほか重賞6勝。
クリソライトと同血の兄クリソベリルは昨年のPOG指名馬で、GⅠチャンピオンズC、ジャパンダートダービーなどダート重賞4勝(GⅠ勝利はPOG期間後でしたが…)。
さらに全姉はGⅠ宝塚記念・エリザベス女王杯勝ち馬のマリアライト!
ほかにもGⅡ神戸新聞杯勝ち馬の半兄リアファル(父ゼンノロブロイ)がいる優秀なファミリーです。

血統はNorthern Dancer5×6・5クロス持ち。
先日の「令和最初のPOG・2019 - 2020シーズン、23th身内POG指名馬レビュー!!(第12回)」で、リズムオブラヴのレビューをした際にPOG期間中の活躍はなかったため名前が漏れてしまっていたんですが、本馬(とマリアライト)の血統もNureyev、Mr. Prospector、Riverman持ちというディープ産駒黄金トライアングルです。

ただ、ディープブリランテ・ミッキークイーン・ショウナンアデラと違いマリアライトは初重賞勝ちが4歳秋のエリザベス女王杯まで遅れました。
その理由は、上記3頭のNorthern Dancer関連の血の濃さで、これが2~3歳時に重賞を勝てるパワーと完成度に繋がったと見ています。
ミッキークイーンはNorthern Dancer≒Icecapade5×5・4、ショウナンアデラはNorthern Dancer5×5・5と約10%の血量を持ちます。
ディープブリランテはNorthern Dancer5×5・6で血量7.8%とやや少ないのですが、その分をLyphard4×5で補っています。
一方本馬はNorthern Dancer5×5・6で、母がNureyev≒Sadler's Wellsを持つものの父との脈絡がない分効果は薄いと感じます。
半兄クリソライトとクリソベリルはNureyev≒Sadler's Wellsの3×5・4でクロスを持っていたのとは異なりますね…。
ま、母母父が柔らかさと斬れ味をもたらすRivermanであり、本馬の場合は牡馬に出たことを考えても、完成は遅くなるのかな、という気はしています。

遡ると母父エルコンドルパサーがNureyev≒Sadler's Wells3×2、Special=Lisadell4×4・3という超近親交配、祖母キャサリーンパーはNasrullah=Malindi3×4にPrince Rose5×5の父母相似配合。
一転して母はBold Reason5代アウトクロスですがこっそりBold Reason≒Never Bend5×3相似クロス持ち。
となると、配合的には産駒の代では緊張→緩和→緊張のリズムで再度クロスを有効活用しするのが王道。
先述した半兄クリソライトとクリソベリルのようにNureyev≒Sadler's Wellsの3×5・4というのが3歳春に能力を発揮させるために必要…。
とはいえ、母のポテンシャルから3歳春も素質だけである程度走ってくれないかな、という期待は持ってしまうのですが…。

本馬は12/15阪神芝2000m新馬戦でデビュー。
1番人気はハーツクライ産駒のメラーキに譲りましたが、レースでは2番手追走から早め先頭に立つと、そのまま後続との差を広げ4馬身差のワンサイドゲームで圧勝しました。

2戦目は年が明けて2/1京都の1勝クラス梅花賞。
ここでは前走の勝ちっぷりの鮮やかさから単勝1.6倍の圧倒的1番人気に推されます。
レースでは最内枠からスムーズに好位に付け、直線を迎えますが前走のような伸びは見られず、7着に敗退しました。
前走の勝ちっぷりから能力が足りないとは思えず、完成度の低さと距離延長が敗因なのかな?という気がしています。
距離延長についてはスタミナ・持続力を強化するためのBurghclereと脈絡する血がないので、スタミナを要すレースで息切れをおこしたのは仕方ない面があるようにも思えます。
いずれにしても春は早々に休養にあてて成長を促すことが決定したようで、現在は放牧中です。


2位指名はリリレフア(牝)。
父はロードカナロア、母はリリサイド(父American Post)。
生産はノーザンファーム、馬主はキャロットファーム、栗東・矢作芳人厩舎所属。
M-Kouさん主催POGでは指名馬に選んでいます。

母は現役時代リステッドレースを3勝も、重賞には手が届きませんでした。
本馬の半姉リスグラシューはPOG期間中はGⅠ2着2回のシルバーコレクターでしたが、古馬になり本格化。
一昨年のエリザベス女王杯で初GⅠ制覇を飾ると、昨年後半は宝塚記念・コックスプレート・有馬記念と驚異の成長力と強さでGⅠ3連勝を飾り見事年度代表馬に選出されました。
一方、その他のきょうだいで1000万下(現2勝クラス)を勝った馬はいません。

血統はNorthern Dancer6・6・8・5×6・5・5クロスにNureyev≒Sadler's Wells5×4相似クロス持ち。
さらに、ラストタイクーン≒Wells FargoとStorm Cat、Miller's LilyがNorthern Dancerとナスキロ血脈で脈絡します。
父母ともにNorthern Dancer多重クロスとNorthern Dancer+ナスキロ血脈持ちの強い父母相似配合と言えます。

一方、年度代表馬の姉リスグラシューはLyphard4×4Northern Dancer5×6・5・5クロス持ち。
父ハーツクライが5代アウトクロスであるのと比較しても、対照的な配合ですね。
ま、リスグラシューはそこまでパワー増幅効果がある配合ではなかったため、完成が4歳秋以降までずれ込んだワケですが…。

さて、本馬の配合に戻るとやはり最大のポイントはラストタイクーン≒Wells FargoとStorm Cat、Miller's Lilyの脈絡。
これは父母共に持つNorthern Dancer+ナスキロ血脈の発展・継続型になっています。
特に母の血統はLyphard4×3、Northern Dancer5・4×4、Mill Reef5×3持ちという配合でいかにも重厚な斬れ味を増幅するでしょう。
さらに父方のラストタイクーンもMill Reefを経由して脈絡するので、どちらかといえば長い直線のコースでナタのような斬れ味を発揮しそうです。
ただ、やはり懸念点は父がその配合の効果で柔らかく斬れる末脚を武器にした一方で、本格化は4歳になってからだった点。
姉リスグラシューも晩成型でしたが、それに輪をかけて晩成型である、という部分は頭に置かないといけないかも知れません。

本馬は10/20新潟芝1600m新馬戦で1番人気に推されデビュー。
道中は中段に待機し、3,4コーナーから外を回って先団に取り付き徐々に進出。
スローペースからラスト3ハロンの瞬発力勝負で、直線に入り一瞬伸びかけるところもありましたが突き抜けるには至らず、4着に終わりました。

次走は続戦で11/3京都芝1600m未勝利戦へ。
このレースでは先行し3,4番手の最内を追走。
直線では前を追いますが、スローペースの行った行ったの決着でなだれ込むように4着でゴールしました。

その後は放牧に出ていましたが歩様の乱れなどから復帰は遅れ、左前の歩様が芳しくなかったことから北海道に戻り第3手根骨のクリーニング手術を行いました。
現在は軽めの調整しか行っておらず、春シーズンの出走はなさそうです。


3位指名はバトーデュシエル(牝)。
父はロードカナロア、母はエルダンジュ(父サンデーサイレンス)。
生産はノーザンファーム、馬主は山口功一朗氏、栗東・安田翔伍厩舎所属。

母は18戦3勝、ダート中距離を主戦場にした中級条件馬でした。
おじ・おばに活躍馬はいませんが、祖母は1勝馬ながらGⅠ英オークスとヴェルメイユ賞で2着。
重賞で2着3回・3着5回と90年代初頭の欧州牝馬版・最強の1勝馬でした。
きょうだいは3/4半兄の2頭は重賞勝ちはないものの、アドマイヤテンクウがGⅢ京成杯2着、アドマイヤスピカがGⅡセントライト記念3着と祖母に似た成績を収めています。。

血統は5代アウトクロス。
ただ、母エルダンジュも5代アウトクロスでしたし、本馬の代ではパワーを増幅するクロスがあれば良かったな、というのが第一印象でしょうか。

もう少し牝系を遡って血統を見てみましょう。
曾祖母Beautywalはディクタス系×Princely Gift系という配合。
これはサッカーボーイと似た配合で、スピードと末脚の斬れが持ち味。
そこにMill Reefの息子Garde Royaleが配合されたのが祖母ガゼルロワイヤルですから、この馬も欧州系のナタのような末脚の斬れが持ち味と言って良いと思います。
しかし、ここにサンデーサイレンスが配合された母エルダンジュがダート中距離馬になるんですよね…。
ま、おそらく発現したのは母母父Garde Royaleがクロスを持つPrince Rose、祖母Beautywalがクロスを持つWordenなどの血。
ともにスタミナ・持続力・パワー血統ではありますから、この血が発現してしまうと日本の芝のスピード競馬にはマッチしないでしょうね。

一方、Prince RoseもWordenもやや古い欧州血統で、Northern Dancerのような早熟性とスピードを兼備したタイプではありません。
そのため、父には早熟性とパワー・スピードを兼備した馬を迎えたいところで、父キングカメハメハの半兄2頭はその点が合格と言えました。
ただ、本馬は父が晩成型であるロードカナロアでパワーを増幅する仕掛けもないため、早期の能力開花という部分では不安が残ります。

本馬は6/30中京芝1600m新馬戦で1番人気に推されデビューしました。
レースでは中段で待機し、直線外を回って末脚を伸ばします。
最後はヤマニンエルモサとの叩き合いとなりましたが、惜しくもハナ差およばず惜しい2着に敗れました。

その後は5か月間の間隔を空け、12/7阪神芝1600m未勝利戦で復帰。
ここでも1番人気に推されたものの、中段追走から伸びを欠き3着でした。

その後は京都芝1600m、中京芝1200m、阪神ダート1400mと条件を変え未勝利戦を走っていますが着順は4,7,2着と勝ちきれていません。


4位指名はサトノフウジン(牡)。
父はディープインパクト、母はコンテスティッド(父Ghostzapper)。
生産は社台ファーム、馬主はサトミホースカンパニー、美浦・堀宣行厩舎所属。

母は米7戦5勝、GⅠエイコーンS・テストS、GⅢエイトベルズSと重賞を3勝し3歳米牝馬マイル路線で活躍しました。
おじMoslerは米リステッド・ローレルダッシュ勝ち、Air Vice Marshalは米GⅡシュパーラティヴS2着。
日本で繁殖入りしてからは6年全てディープインパクトと配合され、1歳上の兄は未出走も長兄サトノルーラーは3勝。
そして2番仔のギベオンはGⅢ中日新聞杯に勝利しGⅠNHKマイルCで2着に入線しています。

血統は5代アウトクロスですね。
アルアインなどもそうですが、米国血統の母との組み合わせで5代アウトクロスでも3歳春から走れるGⅠ級の馬を出してくるところがディープの凄まじい所というか。。

もう少し細かく母系の血統を見ていきます。
母はIn Reality4×5、Mr. Prospector5×4、Northern Dancer5×5クロスにBramalea≒Gold Diggerの6×5・4相似クロス持ちです。
そして、上記クロスからなる父母相似配合が母の血統、ということになります。

ディープとの相性で言うと、注目なのが曾祖母Questress。
競争成績は17戦2勝という下級馬なのですが、その血統を見てみるとSeeking the Gold×Believe Itという組み合わせ。
これって、Mr. Prospector・Buckpasser・In Realityが共通するUnbridledと似た血統構成です。
Unbridledといえばディープとニックスなのは血統をかじっているからにはすでにお馴染みでしょう。
さらに、UnbridledはRough'n TumbleとAspidistraのクロスを持ち母父Dr. Fagerの血を強調することで米パワーを増幅。
一方のQuestressはBuckpasserのクロスによって米パワーを増幅しています。
興味深いのは、両者ともにキーになっているのはAspidistra、Busanda(Buckpasserの母)が米国血統のニックス・War Admiral+Black Servant+La Troienneの組み合わせの血となっていることで、この2頭の血統的共通点がさらにあることを示しています。
そして、コンテスティッドはそのQuestressの血を増幅しているワケですから5代アウトクロスでもパワーの補充はしっかりなされているワケですね。

ま、母が米血中心なのでスピードとアメリカンなパワーに任せて先行押し切りという競馬が合っているのはギベオンの競馬を見てもわかると思います。
ただ、ディープの配合の継続(Burghclereの持続力・スタミナとHalo≒Sir Ivorの斬れ)はしていないので、ゴール前で甘くなる・瞬発力勝負では勝ちきれないというところは仕方ない所かも知れませんね…。

本馬は11/3東京芝1600m新馬戦で1.9倍の1番人気に推されてデビュー。
ところがスタートでは出遅れ、そのまま後方を追走する競馬になります。
しかし、最後の直線では大外から豪快な伸び脚を見せ、最後に内目で粘る先行馬達を一気に差し切り新馬勝ちを決めました。

2戦目は明けて2/2の東京芝1800m1勝クラス・セントポーリア賞。
このレースでも目立った出遅れはなかったものの前走同様に後方からの競馬を見せます。
最後の直線では外から追い上げを試みますが、前走時に見せた伸びは全く見られず、1番人気ながら9着と惨敗しました。
スローペースで前有利の流れ、休み明けとは言えやや負け過ぎでしたね。
クラスが上がり、瞬発力型でない同馬にとっては流れが向かなかったとも思えましたが。。

3戦目は2/22東京芝2000mの1勝クラス・フリージア賞。
ここでは少頭数もありましたが、これまでと一転して3,4番手の好位につける競馬。
インコースで折り合いをつけると直線でもそのままインを突いて前を交わしにかかります。
抜け出して先頭に立った後は後続を突き離し、1.1/4馬身差で見事2勝目を挙げました。
やはり、ある程度前に付けてそのまま抜け出す競馬が合っているよう。

次走はダービートライアルのプリンシパルSで権利取りに挑むようです。


5位指名はヴィクターバローズ(牡)。
父はロードカナロア、母はモスカートローザ(父ディープインパクト)。
生産はノーザンファーム、馬主は猪熊広次氏、美浦・堀宣行厩舎所属。

母は現役時代2勝。
おじにはGⅡスプリングS勝ちのフライングアップル、ダートGⅢ2勝のナイスミーチューがいます。
一方、きょうだいは3/4半姉モスローズ、5/8半姉グラッパディローザともにJRA未勝利です。

血統はNorthern Dancer6・6・8・5×6・5、Raise a Native5×5・5クロス持ち。
父母ともに持つNorthern Dancerクロスを継続しつつ、ラストタイクーンとStorm Cat≒Alzaoの脈絡が発生しています。

そして、この馬の母系で注目すべきは祖母ローザロバータの持つRaise a Native3×3クロス!
母父Alydarを経由したクロスでもあり、米パワーの増幅があるでしょう。
ま、1/2同血のおじナイスミーチュー(父キングカメハメハ)はRaise a Native4×5・5の効果で完全なパワー型のダート馬に出ましたが…。
本馬の場合は父方Raise a Nativeが1代下がっていることあり、そこまでパワー型ではないでしょう。

本馬は7/13中京芝1600m新馬戦でデビュー。
スタートで出遅れ序盤は後方を追走していましたが、遅めのペースを見越し3コーナーで好位まで位置を上げます。
直線では3頭の上位争いを繰り広げますが、タイム差なしの3着と惜しい負けを喫しました。

その後新潟芝1800m、休み明けの東京芝1800mでは連続2着と好走。
しかし、12/14の中山芝2000mでは1番人気を裏切る7着に。
ロードカナロア産駒らしく、距離延長で崩れてしまいました。

その後は放牧に出て、3歳初戦は立て直された4/26の東京芝1600m未勝利戦。
プラス16kgの馬体重でしたが成長分か、それほど太め感はありませんでした。
道中は先団を見る中段前目に位置。
直線では余裕の手応えで前の馬を交わすと、後は後続との差を広げて4馬身差で初勝利を飾りました。
その後は放牧に出たようで、春シーズンの出走はこれで最後のようです。


6位指名はダノングロワール(牡)。
父はハーツクライ、母はソーメニーウェイズ(父)。
生産はノーザンファーム、馬主はダノックス、美浦・国枝栄厩舎所属。
2018年セレクトセール当歳セッションにて2億1600万円という高値で取り引きされています。

母は米2歳GⅠスピナウェイSなど重賞3勝。
近親には活躍馬はいません。
初仔の3/4半兄サトノエターナルはJRA7戦未勝利、その後マカオへ移籍しましたがこちらでも勝利はあげられていません。

血統は5代アウトクロス。

母系を細かく見ていくと、祖母はDeputy Minister×SecretariatのデヒアとAvenue of Flags(Seattle Slewの息子)×母母父Northern Dancerということで、ボルキロとNorthern Dancerの父母相似配合。
そこにA.P. Indy系Sightseeingが配合された母はSeattle Slew4×4、Secretariat5×4というボルキロ血脈のクロスを持つ典型的な米国型の父母相似血統になっています。
その中で、父母父Pleasant Colonyが1/4非Bold Ruler系の欧州血統として活力を与えていますね。

母がクロスで持つSeattle Slewと言えばハーツクライとはニックスの関係。
ただ、この血を持つ馬はスワーヴリチャード、アドマイヤラクティ、カレンミロティック…などがいますが、多くは古馬になって完成に至った馬ばかり。
さらに、そのSeattle Slewをクロスで持ち、Secretariatクロスも脈絡するとなると緩さが強調され、もともと柔らかく晩成タイプのハーツクライに合うか?は…。

本馬は10/6東京芝2000m新馬戦で1番人気に推されデビュー。
レースではインコースの好位を追走していましたが、直線に入り伸びを欠き、4着でした。

次走の11/30中山芝2000mも1番人気に推されながら、最後はジワジワと伸びるのがやっとでまたしても4着。

ところが明け3歳になった2/1東京芝2400m戦では、一転して逃げる競馬を展開します。
直線に入ると後続との差を広げ、2着に4馬身差を付け1番人気に応える圧勝劇を演じました。

4戦目は4/25の1勝クラス新緑賞。
ここでは再度好位からの競馬となりますが、1,2戦目同様ジワジワとしか伸びず3着。
どうにも使える上りに限界があるようですので、現状は前に行って粘れるだけ粘れる競馬が合っているかも知れません。


7位指名はウインマリリン(牝)。
父はスクリーンヒーロー、母はコスモチェーロ(父Fusaichi Pegasus)。
生産はコスモヴューファーム、馬主はウイン、美浦・手塚貴久厩舎所属。

母は現役時代は未勝利の1勝のみ。
もともとオーストラリアの牝系で、おじにはリステッド2勝のKaladan・GⅢSAJCアデレードギニーズ勝ちのShorblue、おばにはGⅢSAJCアデレードギニーズをきょうだい制覇しているClassic Allureがいます。
きょうだいは半兄にGⅢラジオNIKKEI賞勝ちのウインマーレライがいますね。

血統はDanzig4×4、Northern Dancer5・5×5、Halo4×5、Hail to Reason5・5×6クロス持ち。
母父母Angel FeverがDanzig×Haloという血統構成でスクリーンヒーローのキモであるDanzigとHaloをクロスする形になっています。
また、祖母Shorwonは影響力の弱くなった傍流血統で構成されており、1/4傍系・3/4Northern Dancer & Hail to Reasonと、父母相似配合馬であるスクリーンヒーローの血を強調しながら活力をアップさせるという配合にもなっていますね。

さて、この馬の能力の源はどこにあるのか見ていきましょう。
この馬はGⅠVRCヴィクトリアダービー勝ち馬のAlways Thereを産んだApril Wonderが曾祖母。
その曾祖母は、Fair Trial≒Pherozshah2×2(!!)という超強烈な相似クロスを持ちます。
大おじにあたるAlways ThereもFair Trial≒Pherozshah4×3・3という超近親配合の持ち主でしたので、おそらく持続力とスタミナは相当のものがあったんじゃないかと想像します。。
で、母コスモチェーロは代が離れるもののDanzigを経由してFair Trial≒Pherozshah7×4・4。
これがスクリーンヒーローの持つDanzigクロスにより呼び覚まされたのかな、と。

また、スクリーンヒーロー産駒でPOG期間中に重賞勝ちorG1連対馬は、2パターンに分類されます。
①Danzigクロス持ち→ジェネラーレウーノ
②Halo(相似)クロス持ち→グァンチャーレ・トラスト・ミュゼエイリアン・クリノガウディー

いずれも単独でクロスを持つのではなく、ジェネラーレウーノはAmeriflora≒デインヒル≒Be My Guestという発展形のクロス持ち。
グァンチャーレ・クリノガウディーはディアブロ持ちで、Halo・Blenheim・Mumtaz Mahal・La TroienneによるDevil's Bagとランニングヒロインの脈絡とOlympiaを通じたDanzigの血の強調を行っています。
トラストはサンデーサイレンス3×3というHaloクロスの強烈な発展形。
ミュゼエイリアンはHalo≒Sir Ivorの相似クロスとノーザンテースト≒Storm Birdの相似クロスを通じたランニングヒロインとBluebirdの脈絡…という具合です。

本馬はDanzigとHaloのクロスでスクリーンヒーロー自身の血を強調するパターンで、同時に後述しますがスクリーンヒーロー8世代目の産駒にして、初めての牝馬の重賞勝ち馬となりました。
今年は、息子のモーリスが産駒をターフへ送り出しますが、まだスクリーンヒーローも侮れない種牡馬の1頭ということでしょうか。

本馬は12/21中山芝2000m新馬戦でデビュー。
2番手追走から直線早め先頭に立つと、そのまま後続を寄せ付けずに3.1/2差の完勝で、6番人気という低評価を覆す勝利を収めました。

2戦目は1/26の1勝クラス若竹賞で、前走の完勝劇から3番人気に推されます。
レースでは馬群の中の5番手で折り合いを付け、前走とは違った競馬となります。
しかし、直線入り口で少し窮屈になり、また瞬発力勝負では分が悪かったか5着に終わりました。

3戦目は牝馬限定のミモザ賞。
スタート後は前走同様馬群の中の4,5番手ほどを追走。
4コーナーで一気に仕掛けると、直線入り口では先頭に並びかけると、そのまま後続を寄せ付けず1着でゴール板を通過しました。

そして4戦目にオークストライアル・GⅡフローラSに参戦、ノーザンファーム出身の良血馬達がいたため、4番人気の評価でした。
レースでは4番手のインを追走し折り合いを付けると、直線ではインコースで馬と馬の間を縫いながら伸びてきます。
最後は周りに馬がいない状態でしたが差してきた2頭をクビ差凌ぎきり、見事重賞初制覇を飾りました。
いや~、いかにもHaloクロスという一瞬の機動力と、その後粘り切るDanzigクロスのパワーという配合に正直なレースぶりというのが面白いですね。。。

次走はオークス、相手は桜花賞組と一気に強化されますが、どんなレースを見せてくれるでしょうか。

8位指名はウインラディアント(牡)。
父はオルフェーヴル、母はサマーエタニティ(父アドマイヤコジーン)。
生産はコスモヴューファーム、馬主はウイン、美浦・畠山吉宏厩舎所属。

母は現役時代3勝の下級条件馬。
近い代の近親に活躍馬はおらず、曾祖母ゲランからはラッキーゲラン、コスモドリーム、オースミシャダイといった重賞勝ち馬は出ているものの皆30年以上前の馬達です。
しかし、本馬のきょうだいは3/4半姉ウインファビラスがGⅠ阪神JF・GⅢ新潟2歳Sで2着。
そして、3/4半兄ウインブライトは香港GⅠ2勝を含む重賞7勝と、いまや世界クラスの名馬になっています。

血統はノーザンテースト5・4×4クロスに、ダイナサッシュ≒アドマイヤマカディ4×3相似クロス持ち。

さて、半兄はGⅠ2勝ですが本馬とは父がステイゴールド→オルフェーヴルに替わる点は意識しないといけないでしょう。
ステイゴールドは晩成傾向があり、POG的にはどうやってパワーを増幅するのかがポイントでした。
一方のオルフェーヴルはノーザンテーストクロスが功を奏し、パワー充分。
逆に、柔らかさ・しなやかさをどう増幅するかというステイゴールドとは親子で逆の資質を持ちます。
本馬の母系は、まず祖母オールフォーゲランがステイゴールドと相性の良いNijinsky3×3という強いクロス持ち。
さらに米パワーを増幅するFlaming Page≒Buckpasser4×4・4もあり、これは父方6代目のNothirdchanceと脈絡していきます。
そして母サマーエタニティはNorthern Dancer4×5・5、芝短距離をパワーで先行して粘る競馬を見せていたことからもパワー型と判断して良いでしょう。

ステゴはそんな母と配合され、さらにダイナサッシュ≒アドマイヤマカディのパワーとスピードの増幅により2歳時に重賞連対の半姉、3歳時に重賞勝ちの半兄を出しました。
一方、すでにパワー充分のオルフェーヴルにとってこの配合は過剰にパワーを供給されると思えます。オルフェーヴルにとって必要なMr. Prospectorの血も、母がNureyevと3/4同血でパワー型のジェイドロバリー経由ですしね。。
配合から兄同様の活躍は描けないというのが自分の意見です。

本馬は11/24京都芝1800m新馬戦でデビュー。
スタートで出遅れながらも2番手に付けますが、逃げ馬は交わせずさらに他馬に差され、掲示板は確保したものの5着でした。

次走の中山芝2000mは道中中段追走も次々に交わされ15着。
明け3歳になり東京ダート2100mに転戦しますが、好位追走から伸びることができず8着。
次走の中山ダート1800mも好位追走しますがそこから伸びず6着。

その後、3/21の未勝利戦前に左前肢の剥離骨折を発症し戦線離脱。
ステイゴールドとの配合でも半兄は490kgまで成長しており、本馬は父が替わって540kgの大型馬に出ましたが、それが仇となってしまった形でしょうか。。。


9位指名はエルセンブルグ(牡)。
父はエピファネイア、母はアイスフォーリス(父ステイゴールド)。
生産は社台コーポレーション白老ファーム、馬主はサンデーレーシング、美浦・相沢郁厩舎所属。

母は現役時代3勝ですが、フローラSと中山牝馬Sで2度の重賞2着、そしてGⅠオークスでの3着があります。
近親の活躍馬はいとこアリアのGⅢ函館2歳S3着が見られる程度ですが、4代母はGⅠを10勝し今も最強牝馬の1頭として語られる名牝Dahliaです。
半兄カイザースクルーンは新馬戦に勝利するもその後2勝目はあげられていません。

血統はサンデーサイレンス4×3、Hail to Reason5・6・7×5・8クロス持ち。
Hail to Reason多重クロスは、父母の配合の継承で相似配合と言えますね。

本馬の個性ももう少し見ていきましょう。
母は5代アウトクロス馬。
母父クロフネのパワーもあって3歳春から重賞で入着しながらも、6歳春の現役最終戦・中山牝馬Sで2着するステイゴールドらしい息の長さもありました。
ただ、オルフェーヴルやゴールドシップのようなノーザンテースト - ダイナサッシュを強調する血はないため、柔らかさが勝ったタイプと見ます。
とすると、これまでの傾向から産駒にはパワー増幅効果のある母を迎えたいエピファネイアにとっては、ベストなお相手ではないかも知れませんね。

さて、昨年種牡馬デビューしたエピファネイアですが、ここまで重賞で連対した3頭デアリングタクト・シーズンズギフト・スカイグルーヴの血統を見た単純な感想としては、やはり「シーザリオの増幅」がカギになっているのかな、と。
まずは、全馬が当然のようにサンデーサイレンスクロス持ち。
そして、デアリングタクトとスカイグルーヴはキングカメハメハを経由してSadler's Wells≒Nureyevとマルゼンスキー≒トライマイベストの相似クロスが発生。
シーズンズギフトは、Northern DancerとHabitatのクロスを通じたキロフプリミエール≒ザイーテン3×3相似クロスにローミンレイチェルがBuckpasserとIcecapade≒Northern Dancer持ちで、マルゼンスキーと脈絡するのが特徴です。

一方、本馬の場合はシーザリオを強調する血はありません。。
来期以降、エピファネイア産駒の血統を見るときは自分は上記ポイントを重視してみたいですね。

本馬は1/12中山芝2000m新馬戦でデビュー。
スタートは出遅れ道中後方からとなりましたが、4コーナー~直線と外を回って追い込み、3着まで押し上げました。

少し間が空いて3/8の中山芝2200m未勝利戦でも出遅れ最後方からの競馬に。
しかし、最後の直線では大外から豪快に追い込み、ゴール前2着馬をクビだけ交わして初勝利を挙げました。

3戦目は4/5の1勝クラス山吹賞へ。
ここでもやはり出遅れ後方追走、最後は外を回って追い上げを試みますがあまり差は詰められず9着。
年明けデビューでもありまだ力が付ききっていない印象ですね。


10位指名はサトノポーラスター(牡)。
父はダイワメジャー、母はゼラスキャット(父Storm Cat)。
生産は社台ファーム、馬主はサトミホースカンパニー、美浦・大和田成厩舎所属。

母は米5戦1勝。
おじPohaveは米GⅠトリプルベンドH勝ち馬です。
また、米国生まれの半姉Tapicatは米芝GⅢフロリダオークスに勝利しています。
一方、全兄ダノンカイザーは3戦未勝利で引退しています。

血統はNorthern Dancer4×4にCrimson Satan4×5クロス持ち。
また、ノーザンテースト≒Storm Bird3×3相似クロスも発生しており、総じてスカーレットブーケ≒Storm Catの2×2とも言っていいんじゃないでしょうか。

自分的ダイワメジャー産駒好配合ポイントは、Menow-Tom Foolの血のみクリア。
Storm Catの4代母First RoseがTom Foolと相似な血というところがポイントですね。
ただ、上記のスカーレットブーケ≒Storm Catに母母父がパワー型のAlydar、好配合ポイントは1点のみクリアと考えると、高速芝向きではなくパワータイプという印象です。

本馬は6/16東京芝1600m新馬戦でデビュー。
出遅れて後方からの競馬となり、そのまま差を詰めることができず12着でのゴールでした。

2戦目は休養を挟み9/14の中山芝1600m未勝利戦。
ここでは3,4番手の好位追走と前走からの進展がありましたが、最後は交わされ9着。

明け3歳になるとダートに矛先を変え、中山ダート1200m戦に出走。
8番人気の低評価でしたが、4番手を追走し直線200mからエンジンがかかると、外へ出してゴール直前で2着馬を交わし変わり身を見せ勝利を挙げました。

しかし、その後の東京ダート1400m1勝クラスではどちらも11着と2勝目は現時点では厳しそうな雰囲気です。


最後に、管理人ことblood_freamが血統などから、今年のむらやまさんの指名馬の中で最も賞金を多く獲得するであろう馬を予想します!
これはディープインパクト産駒の2頭、ヴァーダイトとサトノフウジンと迷いました。
晩成傾向がある前者、Unbridledと相似な血はあるものの突き抜けられない後者…。
ただ、結局前期POGで半兄にお世話になったというところもあり、ヴァーダイトを選びました。
春シーズンはもう終戦ぽい感じになっていますが。。。


さて、ついに昨日赤本が発売され、ムック型は主要POG本全てが発売となりました。
身内POGは現在3位ですが、1位のふくいしさんとの差は40000pt以上とほぼ逆転は難しい状況(哀)。。。
次回以降は、久々に身内POG指名馬レビュー以外のネタで、来期POG関連のエントリーを書くことになると思います。
余裕があればPOG本レビュー、余裕がなければ注目種牡馬の産駒レビューでしょうか。。



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